2026年新春インタビュー 中国事業の最前線【中】/帝人商事〈上海〉 小笠原重典董事長

2026年01月08日 (木曜日)

地場スポーツ向けを深化

――2025年を振り返って。

 衣料・産業資材ともに出来過ぎと言えるほど良かった前年(24年)の反動により、25年通期は前期比で微減収・微減益となりそうです。ただ全般的には健闘した一年でした。衣料事業では主要顧客である地場スポーツ大手などが引き続き好調に推移し、産業資材はフィルター用途などの環境資材が伸び、収益に貢献しました。

――衣料事業の状況は。

 安踏(アンタ)グループや「カイラス」など、中国市場で成長を続ける大手スポーツ・アウトドアブランドとの取り組みが深化しています。こうした顧客からは単なる縫製請負ではなく、素材からの提案力が評価されています。

 奏功しているのが、日本独自の高機能素材とコスト競争力のある中国素材を組み合わせた提案です。ハイエンド向けにはPTT繊維「ソロテックス」や中空異型断面ポリエステル繊維「オクタ」などの日本製生地と、グループ工場の南通帝人の付加価値品を提案し、ボリュームゾーンには南通帝人や現地の協力工場の価格競争力のある素材を充てています。産地別の売上比率は、日本3割、中国7割です。

――現地での独自素材開発も進んでいるようですね。

 環境配慮と機能性の両立を狙った素材を開発しています。例えば、新たに開発したポリエステル100%の「モール糸」使いの素材です。通常、起毛工程はマイクロプラスチック発生の要因になりますが、モール糸を使えば起毛しなくてもかさ高で温かみが出せます。独特の形状や風合いが評価され、採用が進んでいます。

 一方、日系SPA向けや欧米向け生地輸出は顧客の在庫調整局面に入り、前年の好調さを維持できませんでした。

――産業資材は。

 環境資材が拡大しました。グループのタイ拠点でポリエステル短繊維のショートカットファイバー(短カットわた)の生産能力を増強したことを生かし、中国国内でのエアフィルター需要などを取り込み、販売を大幅に伸ばしました。

 車両資材は、日系メーカー向けのカーシート素材(編み物・織物)の落ち込みを、合成皮革の採用拡大でカバーしています。地場のEV(電気自動車)メーカー開拓にも力を入れ、数年前からの種まきが実り、ようやく受注が決まり始めました。

――26年の方針と展望を。

 マクロ環境の不透明感は続くとみていますが、引き続き商社機能とメーカー機能を融合させ、他社にできないモノ作りを提供します。

 新たな構想として、BtoC事業への関心も持っています。日本本社が日本国内でイタリアのアウターブランド「セーブ・ザ・ダック」の合弁事業を進めていますが、将来的には中国・アジアでの展開も視野に入れていきます。

(上海支局)