特集 今治タオル産地(7)/素材・機械編/独自性の追求を支える
2026年01月08日 (木曜日)
今治産地のタオルメーカーでは、市場構造の多様化・細分化が進む中で企画提案の幅を広げ、これまでになかった付加価値の追求が続く。それを支える素材選定や製造工程に向けた提案も多様化している。
今治産地では、多くのタオルメーカーが新たな事業基盤の確立に取り組んでいる。OEMを中心とした従来型事業に加え、独自製品を開発し、今治タオル工業組合の直営店舗や自社販売、さらには異分野市場への供給に挑む事例も増えてきた。
こうしたビジネスを支える上で、使用する素材や生産設備による差別化の重要性は一段と高まっている。
これまで吸水性や洗濯耐性といった機能面を前面に打ち出した製品が支持を集めてきたが、近年は色柄やデザイン、生産背景といった情緒的価値による差別化も改めて注目されている。
色柄表現については「プリントで十分ではないか」との見方もあるが、ジャカードを用いた多色織りやタオル全体に大柄を表現するなど、ジャカード織り製品の良さを再提案しようとする動きも出ている。
風合いの追求においても、素材選定や製織技術が高付加価値化を担う場面が今後さらに進むとみられる。
〈シキボウ/“新しい目線”の糸提案〉
シキボウは、小回りの利く生産体制を強みに、高付加価値糸の提案に力を入れる。糸の問い合わせや試紡依頼が増える中、「新しい目線でモノ作りができる糸」を打ち出し、活発化するタオルメーカーの新商品開発ニーズを捉え、販路拡大を目指す。
多様化するニーズに素早く対応するため、グループの新内外綿との連携を一段と強化する。営業と工場の生産担当者が密に情報共有しながら生産会議を行うことで、多品種小ロット生産を実現している。
新たな切り口として、今期(2026年3月期)は温度調節樹脂「コンフォーマ」の長繊維を綿でカバーリングした高機能糸を投入する。定番の杢(もく)糸「GRシリーズ」や、天然色素を使った「ボタニカルダイ」の提案も拡充。タオル用途に加え、雑貨やホームウエアなど将来を見据えた新しい商材にも使える糸として訴求を強める。
既存商品も堅調に推移する。特殊紡績法による毛羽コントロール糸「ふわポップ」や、芯にリサイクルポリエステル30%、鞘にオーガニック綿70%を配した「クイックドライエコ」は、風合いと機能性、環境配慮を兼ね備えた糸として採用が広がっている。
〈エディー/ピカノール製織機を提案/今治でも導入が進む〉
ピカノール(ベルギー)の日本総代理店を務めるエディー(大阪府東大阪市)は、今治産地に向けてタオル用レピア織機の最新機種「ウルティマックス テリー」を提案していく。欧州に続いて日本でも導入が進みだし、来年1月に日本での第1号機が今治で稼働する予定。
ウルティマックス テリーは2023年の「ITMAミラノ」で発表されたテリー織機の最新機種。ピカノールが重点を置く①スマートパフォーマンス②サステイナビリティー③データによる操作④扱いやすさ――に加え、幅広い糸種への対応や多様な緯入れ、安定した高速稼働などの特徴を持つ。生産性は前機種比10~20%の高速化を実現している。
独自のパイル・モーター設定で生地を直接駆動させると同時にバックレストが動き、高速稼働でも正確にパイルを形成する。汎用(はんよう)性も高く軽量なタオルから重厚なバスマットまで対応する。
今治での初導入は、奇麗なパイル形成や高生産性などが評価された形で、今後も今治でのテリー織機の提案に力を入れる。デザインシステムの整備などデジタル技術の活用がタオルメーカーにとって重要性が増す中、織機の開発でデジタル化に重点を置くピカノール製への評価も高まっているという。
〈ストーブリ/プロシリーズを提案/ランニングコスト低減へ〉
ストーブリは今治産地に向け、電子ジャカードの最新機種の提案を強める。2026年は最新機種に更新することでランニングコストの低減につなげる提案を強め、拡販につなげる。
電子ジャカードは、需要が多い2688口のSXから大口のLX、LXL、LXXLまでプロシリーズをそろえて提案している。新システムの採用や電装ユニットの一新などで扱いやすさが向上し、前機種に比べて大幅な省エネも実現している。
古くなった設備では修繕費などの増加に悩む企業も多い中、新機種への入れ替えで保全コストの低減や電気消費量の削減などにつながる点を訴求しながら、26年は拡販を目指す。
25年の電子ジャカード機の販売は、前年比微増となったもよう。タオル用は減速したが、衣料用途での増加でカバーした。26年は、繊維機械全体で前年比10%の増収を計画し、今治産地での販売も回復を狙う。タオルの市場環境は厳しい見通しの中でも、先を見据えた設備投資に向けての提案を強化していく。
25年は電子ジャカード機以外も底堅く、繊維機械全体でも前年比微増収となった。主力の開口機(ドビー・カム)も前年比微増収で、電子ジャカード機とともに貢献した。一方、好調が続いていた自動ドローイングなど製織準備機は一服感が出た。けん引した資材用途で米国関税の影響が出たためで、設備投資計画がいったん様子見になるケースが増えているという。





