2026年新春インタビュー 中国事業の最前線【下】/伊藤忠繊維貿易〈中国〉 溝内剛士董事長
2026年01月09日 (金曜日)
勝ち組との取り組み深耕
――2025年の総括と足元の状況は。
おかげさまで25年度上半期(4~9月)は、前年同期比で増収増益でした。マクロ環境は依然として厳しいですが、国内外のスポーツ・アウトドア分野で、いわゆる「勝ち組」の有力ブランドとの取り組みを深耕できたことが勝因です。
特にスポーツ衣料は単価の高い秋冬物が主力のため、そのデリバリーが集中する上半期に大きく数字を伸ばしました。下半期はその反動で落ち着く局面もありますが、通期でも前年実績を上回る業績を確保できる見通しです。
――中国内販事業が好調です。要因は。
地場スポーツ最大手の安踏(アンタ)グループとの取引拡大が続いています。特に「デサント」や「コーロンスポーツ」「フィラ」向けが成長ドライバーとなり、業績全体をけん引しました。
これまでの製品OEM、ODMに加え、現在は生地・素材面での開発・提案力の強化や、日本の有力デザイナーとの協業提案など、企画段階から当社が参画することで、他社にはない付加価値を提供できています。
また、新規開拓として地場の高級アウトドアブランドへのアプローチも強化しています。機能性を最重視する本格派ブランドに対し、7デニールの極薄素材など、技術難度の高い高機能素材を供給することで信頼を勝ち得ています。
――グローバルブランドへの対応は。
欧州の大手スポーツブランドとの取り組みが拡大しました。顧客の持つ抽象的なイメージを、具体的な素材として具現化する提案力が評価されています。また、シューズやラケット競技に強みを持つ欧米ブランドについても、アパレルラインの強化に合わせて企画・生産に深く入り込み、ビジネスの幅を広げています。
生産面では、欧米ブランドからの「脱中国」要望に対応するため、ベトナムなど東南アジアの協力工場を活用した体制を強化しています。
――サステイナブル素材の進捗(しんちょく)は。
再生ポリエステル「レニュー」のビジネスモデル転換を進めています。これまでは原料(チップ・原糸)の販売が主でしたが、収益性が限られるため、現在は自社で開発した生地や製品としての提案へと軸足を移しています。日本向けのスポーツブランドやユニフォームで採用が進むなど、成果が出始めています。
――26年の重点戦略と抱負を。
既存のスポーツブランド向け事業に注力して基盤を盤石にしつつ、新たな収益の柱を構築します。その一つがブランド事業です。「グラミチ」はセレクトショップへの卸売りと電子商取引(EC)が堅調に推移しており、今後は小売り強化も視野に入れます。
さらに川下への出資や投資も検討していきます。勝ち組との取り組み深耕を徹底し、変化の激しい中国市場で確固たる地位を築きます。
(おわり、上海支局)





