別冊ユニフォーム(4)/素材メーカー/猛暑対応へ機能磨く
2026年01月09日 (金曜日)
国内観測史上最高となる41.8度を記録するなど、今年も危険な暑さが日本列島を包んだ。「少しでもこの酷暑を何とかしたい」。働く現場からは、切実な声が上がる。夏の長期化で夏物の着用期間が伸び、オールシーズンに使える素材への関心も高まってきた。素材メーカー各社は、こうした環境の変化を商機と捉え、涼感・冷感を追求した高機能素材や、汗染み防止、遮熱など、想定を超える猛暑に対応する素材開発に力を注いでいる。
〈年中使える高通気〉
夏の長期化で「一年中着られる素材」へのニーズが高まり、高通気素材の採用が広がっている。各社は通気性を軸に、ストレッチ性や環境配慮など、機能を融合させた開発を加速させる。クラボウは高通気・ストレッチ「ジェットエアー」の販売を伸ばしている。同素材に難燃「ブレバノ」や高制電「エレアース」を組み合わせ、複合提案の幅も広げた。
シキボウの高通気素材「アゼック」は、年間を通じて着用する企業が増え、「一年中、加工している状況」が続く。ベーシックタイプを中心に販売量を伸ばし、ストレッチ性やSDGs(持続可能な開発目標)などの要素を加えた商品の展開も加速している。
東レは夏の主力素材として、独自の仮撚り糸による清涼素材「シャミラン」をリブランディングした。麻のようなシャリ感を持ち、糸の凹凸が生地に隙間を作ることで高い通気性、吸水速乾性、肌離れ性を実現。従来は織物が中心だったが、新たに編み地も加え、快適性を一段と高めた。
〈汗染み低減に注目〉
現場作業者が接客する場面も増えるなど、見た目への意識の高まりから、汗染みを抑える機能に注目が集まる。従来の撥水(はっすい)加工ではなく、糸と組織の工夫によって「ぬれているが、見えにくい」素材提案が増えてきた。
帝人フロンティアが開発した複合快適織・編み物「カラットX」は、組織と糸の組み合わせで肌面のドライ感や遮熱、UVカットの機能に加え、防透け、汗染み低減といった見た目の機能も備える。
特殊な糸使いと編み組織で汗染みを抑える「スエットコントロール」を提案するシキボウは、スクールやスポーツ、カジュアルメンズ向けに加え、レディースのカットソーもそろえて女性層への訴求も狙う。
東レは、特殊セラミックを練り込んだポリエステル糸と生地組織の工夫で汗染みを目立ちにくくした生地を開発した。UVカットや防透け、接触冷感機能を併せ持ち、織物と編み地を展開する。
〈快適性重視で進むニット化〉
作業ストレスを少しでも低減するため、生地のストレッチ性は必須機能になりつつある。編み地の取り扱い比率を高める東洋紡せんいは、織物に近い物性の編み地「コンフォネックス」を拡販している。編み地ならではの縦横50%以上の高いストレッチ性に加え、スナッグやピリングへの耐性を持ち、機能性が評価されている。
高強力ナイロン「コーデュラ」を展開するインビスタジャパンは、綿混の「コーデュラ NYCO」を使った編み地の新素材を投入し、今秋冬物から順調なスタートを切った。市場開拓や素材開発に力を注ぐ。
〈綿の価値高まる〉
素材のトレンドが合繊100%使いから裏綿など、やや天然繊維に戻りつつある中、綿を軸とした提案も進む。クラボウの綿100%ストレッチ生地「バンジーコットン」は、動きやすさと肌触りの良さを両立し、着用快適性を求める需要を捉えた。「綿の価値を感じてもらえる提案」を通じて、採用拡大を図る。
シキボウは、ポリエステル綿混の電動ファン(EF)付きウエア向け生地の販売を伸ばしている。短繊維では加工が難しいとされるが、独自技術を確立し、高密度設計を可能にした。
日清紡テキスタイルの「エアリーウェーブ」は、糸や織り組織の工夫による高通気・ストレッチ素材で、綿20%・ポリエステル80%を中心に販売量を伸ばす。綿100%でありながら20%以上のストレッチ性を持つ織物「アスタリスク バイ ナチュレッシュ」の販売も拡大する。
〈供給体制の再構築〉
国内生産のキャパシティーが限られる中、納期対応を強化するため、海外での生産体制の構築が進む。一村産業は、産元商社として北陸産地への継続的な発注を最優先とした上で、納期とコスト面でのメリットを追求するため、海外生産の構築を急いでいる。
ユニフォーム顧客の縫製拠点が多いベトナムでは、糸から織布、染色加工までの一貫生産体制を構築した。技術開発室の担当者が現地で技術指導や品質管理を行い、「日本品質」を実現している。
東洋紡せんいも生地供給から縫製まで一貫管理する製品OEMへの転換を進める。ベトナムの縫製子会社・東洋紡ビンズンや周辺の協力工場を活用し、安定した供給体制を構築する。





