逆境に駆ける~2026アパレルトップインタビュー/オンワードホールディングス 社長 保元道宣氏
2026年01月13日 (火曜日)
次の柱づくりに挑む
昨年来、四季の移ろいが消え、販売政策の肝となるシーズンMDがもろくも崩れた。それでも多くの企業で効率化を見据えた構造改革を継続、企画もアップデートしている。一方で、懸念材料の物価高や円安基調が続く。外部環境への対応を含め、経営トップの実行力や判断力がより重要になっている。まずは、オンワードホールディングス(HD)の保元道宣社長に方針を聞いた。
◇
――昨年は「二季」のシーズンMDを導入した。商況を振り返ると。
春と秋が短くなり、ざっくりと四季から二季という考え方にシフトした。大きな変化なのでこれからも企画を磨き上げる。長い夏への対策は道半ばと考えているが、ヒット商品も生まれた。試行錯誤をしながら着実に前へ進んでいる。冷え込んだ昨年11月に入ってからはコートが売れている。在庫を強気に構えているので、玉不足の心配はしていない。
――MDで成果が表れたブランドは。
百貨店販路では「23区」が堅調だ。ショッピングセンター(SC)、電子商取引(EC)では「アンフィーロ」が大きく伸びている。23区は33年目を迎えた基幹ブランドだがMDに加え、接客やデジタルの力を活用した購買体験など“総合力”で評価されている。
アンフィーロでは新しい世代を開拓した。オンワードグループは百貨店を主体に展開してきた歴史もあり、こうした新流通で存在感を示せたのは良い傾向だ。また“機能美”というコンセプトで、発想の段階から合繊ベースの商品構成へ取り組んだ。当社のデザイン力に加え、新素材の強みを掛け合わせたことも奏功した。東レなど素材のパートナー企業の力も大きい。
――オーダーメード主力の「カシヤマ」も急成長している。
カシヤマはSCにも出店し業績は好調だ。従来は都心の銀座や新宿など路面店で広域のユーザーを獲得してきたが、新規出店した流山おおたかの森SC(千葉県流山市)でも需要があることが分かった。採寸予約がオープン前から多数入り、同じような状況はイオンモール福岡店、広島府中店でも見られた。従来は学生と50代の顧客を中心に取り込んでいたが、SCでは30~40代のビジネス客が来店している。
――カシヤマの成長に向けては。
カシヤマは、中国・大連にある自社工場を増強した。増設した第2工場もフル稼働し、将来的には第3工場をどこに建設するのか検討している。日本か、それともASEAN諸国になるのかシミュレーションをしている。2030年度までは中国生産などで対応できるが、その先も視野に入れている。
百貨店でもオーダー事業を長年展開しているが、今春以降に「カシヤマ・プレミアム」というブランドで高価格帯のゾーンを狙う。こちらはメード・イン・ジャパンで対応し、オンワードの協力工場で生産する。スーツは当社の祖業だ。今後、カシヤマのオーダースーツ事業はオンワードグループの柱になる。
――法人向けの事業については。
法人向けのビジネスもBtoCと並ぶ柱にする。法人事業を主力にするオンワードコーポレートデザイン(東京都千代田区)の業容を30年度までに倍増させたい。
ユニフォームの製作や販促グッズを展開して60年以上になり、約2千社の顧客基盤がある。新機軸として空間デザイン(スペースクリエート)で新しい芽が出てきた。顧客企業の課題を包括的に解決し、ここに伸び代がある。
――物価高、円安の影響については。
ゼロではない。定番的な商品は企業努力でコスト上昇分を吸収し、価格を維持する。新商品についてはクオリティーを高めながら価格に反映させる。定番と新商品の2軸でMDを考えている。平均的に緩やかな価格上昇になりそうだ。極端な値上げは考えていない。





