ズームイン/東レのファイバー・産業資材事業部門長に就いた浅田 康治 氏/武器を備えて前に出る
2026年01月20日 (火曜日)
昨年4月にファイバー・産業資材事業部門長に就いた。10年ぶりの本社勤務だが、担うのは国内外の合繊生産拠点。それだけに「楽しさと重責を感じている」と話す。
テキスタイル育ちだが、2014年から2年間、畑違いの短繊維事業部長を務めた。その際、新素材の開発、川下への提案、内見会の開催、国産糸・わたのラベルの展開などさまざまな仕掛けを講じた。従来の原料売りっ放しにとどまらない施策をテキスタイル思考で次々と打ち出していたことが記憶に残る。
部門長に就いても変わらない。就任後、部門全員を集めて「グローバルファイバーメーカーになる」と宣言。テキスタイル部門への供給という「甘えからか、内向きになりがち。しかし、利益を得ているのは外部の顧客。もっと前に出ることを求めた」と言う。
そのために武器を用意する。それが昨年10月に発表した高付加価値ファイバーシリーズ「トーレ・プレミアム・ゴウセン・セレクト」だ。部門長就任後、半年で立ち上げた。
国内外の展示会出展も積極化する。これは中国の織布・染色子会社、東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)時代に身に付けた「勝利の方程式」。「展示会に向けて準備をし、生地、製品も含めたモノ作りを行い、名前を付ける。毎回アップデートするので商品力も高まる。同時に従業員の意識も変わった」。この手法を導入する。
同部門はポリエステルやナイロンの長・短繊維、アクリル短繊維など多彩な素材を受け持つ。展示会への出展は担当以外の知識も身に付けなければならないため、顧客に「全てが提案できるようになる」という。さらに、時間をかけてチームで取り組むため、チームワークも養われるそうだ。
浅田さんにはある思いがある。「当社はファイバーメーカーで、ファイバーが繊維事業を形作っている。しかし、ファイバーメーカーと認知されながら、ファイバーそのものは知られていない」というジレンマだ。「その穴を埋めれば、まだまだやれる」と強調する。
短繊維事業部長、スポーツ・衣料資材事業部長を務めた後、17年からはパシフィックス・テキスタイルズ・ホールディングス営業部長として香港に赴任。反発もある中で当時ほとんどなかった中国内販に取り組み、21年からは東麗〈中国〉投資に所属して福建省アモイに駐在し現地スポーツアパレルの開拓に取り組んだ。詳細は避けるが、何があっても折れない姿勢には舌を巻く。
「ノーチェンジ・チャレンジ、ノーライフ」。担当者全員に伝えた言葉の一つだが、浅田さんに、そのまま当てはまる。果たして、どんな変化を見せてくれるか楽しみだ。(貴)
あさだ・こうじ 1991年関西学院大学経済学部卒、東レ入社。2005年婦人・紳士織物事業部ファッション織物第2課長、08年東麗〈中国〉投資(TSDマーケティング・開発部副部長)、10年同(TSD事業部門副部門長)兼TSD董事、11年TSD董事営業本部長、14年短繊維事業部長。16年4月からスポーツ・衣料資材事業部長。17年パシフィックス・テキスタイルズ・ホールディングス営業部長、21年繊維事業本部主幹兼東麗〈中国〉投資、2025年4月からファイバー・産業資材事業部門長





