化繊産業の2026年展望/業界再編が加速か/構造改革は世界的な動きに

2026年01月21日 (水曜日)

 日本の化繊産業は2026年も業界再編が加速する年となりそうだ。得意分野への“選択と集中”を進めてきた日本の化繊産業に続き、韓国や台湾でも同様の動きが顕在化しており、構造改革が世界的な動きとなる兆しも強まる。(宇治光洋)

 26年1月、セーレンに売却されたユニチカのポリエステル繊維・不織布事業がNBセーレンとして再出発した。かつて“合繊8社”体制が続いた日本の化繊産業にとって、05年にカネボウの合繊事業が同じくセーレンに譲渡され、KBセーレンとなって以来の大きな業界地図の書き換えとなる。

 さらに今年10月には帝人グループの繊維・製品事業を担う帝人フロンティアと、旭化成グループの繊維事業の中核である旭化成アドバンスが統合する予定だ。企業の系列を超えた統合は、業界再編の動きが新たな段階に入ったことを象徴的に示している。

 こうした動きの背景には、大きく三つの要因がある。一つは資本市場からの要請だ。近年のインフレを背景に世界的に長期金利が上昇していることから、株式上場企業は長期金利を上回るだけの収益性を確保しなければ資本市場から見放される。このため資産効率を重視した経営が求められ、利益率の低い事業からは手を引かざるを得なくなった。

 二つ目は物理的要因だ。日本の繊維産業は設備の老朽化が進んでおり、継続的な修繕・更新や新規投資が可能な利益率を確保しなければ事業継続が物理的に不可能になっている。このためベストオーナーへの譲渡による事業集約によって、効率化と収益性の向上を進めざるを得ない。

 そして最後の大きな要因として、繊維素材・製品の国際市場において、中国を源とする供給過剰問題が一段と深刻化していることがある。日本化学繊維協会のまとめによると、23年の世界の化繊生産は9168万トン(前年比4・8%増)だが、うち中国が7127万トン(6・4%増)を占めた。その後も中国の増産は続き、24年は7911万トン(11%増)、25年は1~11月累計だけで7932万トン(5・0%増)に達する。

 中国の圧倒的な供給によって他の国の化繊産業はコスト競争力で太刀打ちできず、汎用(はんよう)品は中国が独占供給する構図が一段と強まった。日本の化繊産業は高付加価値品や独自素材など得意分野への“選択と集中”によって生き残りを図らざるを得ない。

 こうした動きは日本だけでなく、アジア全体に広がっている。韓国と台湾の化繊生産も25年から急減した。韓国は1~9月累計で45万1154トン(18・4%減)、台湾も1~9月累計が49万6438トン(22・5%減)と大幅に減少している。日本と同じく、韓国と台湾でも構造改革の動きが顕在化している。

 アジアの化繊産業の構造変化は、日本での自家生産から韓国・台湾での委託生産へのシフトといった選択肢への呼び水ともなる。グローバルな構造変化とも連動しながら、26年も日本の化繊産業は大小さまざまな再編が進む可能性が高まった。