信州大と検査機関/繊維産業の国際競争力強化へ/資源循環とデジタル化推進
2026年01月27日 (火曜日)
信州大学繊維学部と繊維系検査機関6社はこのほど、「第2回 繊維産業におけるLCA人材育成講座」を開いた。欧州連合(EU)の環境規制強化を受け、日本の繊維産業が国際競争力を確保するための具体策として、2040年に向けた資源循環ロードマップの進捗(しんちょく)やデジタル技術を活用した情報流通基盤の構想を解説した。会場とオンラインを合わせて200人超が参加した。
経済産業省製造産業局生活製品課の山下大貴課長補佐は、EUのエコデザイン規則(ESPR)など国際的な動きを背景に、日本製が選ばれ続けるには、「日本が信頼される国になる必要がある」と強調した。廃ペットボトルは飲料容器への再利用需要が高まり、繊維向けの確保が難しくなる中、競争力を高めるためには、「繊維to繊維」リサイクルへの取り組みが不可欠だと指摘した。
同省は30年に向けて繊維to繊維のリサイクル処理量を5万トンまで引き上げる目標を掲げている。衣料品の繊維to繊維リサイクル処理量をケミカルリサイクルと反毛による処理量と定義して推計したところ、現状は年間約2・8万トンにとどまっており、処理量拡大が課題となっている。
達成の鍵は、国内で手放される衣類の約7割を占めるポリエステルや綿などの「混紡品」の再資源化にある。昨年設立した、繊維to繊維の資源循環構築を目指す「コンソーシアム・フォー・ファイバー・トゥー・ファイバー」(CFT2)で技術確立を進め、社会実装を目指す。
需要創出に向けた制度面での後押しも強化する。「グリーン購入法」の見直しを検討しており、カーボンフットプリント(CFP)の開示や、回収・再利用システムの構築を「プレミアム基準」として設定する方向で調整を進めている。山下氏はこうした政府の取り組みについて、「産業競争力を高める手段の一つとして、事業活動に役立ててもらいたい」と呼び掛けた。
続いて、東レの堀野哲生繊維事業企画推進室長は、産官学のパートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」で検討中の情報流通基盤構想を紹介した。製品にRFID(無線通信による個別管理システム)などで「ユニークID」を付与することで、ファッションを「媒体」に変える試みだ。
購入後に切り取られるタグとは異なり、ユニークIDを通じて修理履歴や作り手のこだわりを消費者に伝え続けることができる。「長く着られる服の価値が認められれば、価格ではなく、『ライフサイクル価値』で選ばれる新しいマーケットが見えてくる」と展望を示した。現状は提案段階だが、繊維業界側とシステム側の両面から検討を深める。





