MU閉幕/ピックアップ好調で好印象/JOB出展者数は増加

2026年01月27日 (火曜日)

 ミラノ・コルティナ2026冬季五輪の開催を控え、街中で準備が進む中、国際生地見本市「第42回ミラノ・ウニカ(MU)」が3日間の会期を終え、22日(現地時間)に閉幕した。

 日本のモノ作りの国際的地位を発信する「ザ・ジャパン・オブザーバトリー(JOB)」は、出展社数39社に加え、JOB Next10社と前回から参加企業数を伸ばした(MU全体では53社が出展)。バーチャルリアリティーで日本の産地を体感できる「産地フォーカス疑似体験コーナー」の第2弾は「尾州ウール」をテーマに展開。トレンドコーナーを訪れた来場者とともに多くの関心を集めた。JOB以外の一般コーナーへの日本企業の出展は4社だった。

 京都の染織産地を紹介する「KYOTO TEXTILES」は、西陣織や丹後ちりめんなどを出展。集客面に不安はあったものの、過去で最も良い結果だったと満足感を示した。京都府として出展を始めて5年目となり、継続出展による認知向上が進んだことで、目的意識を持ってブースを訪れる来場者が増加。数年前に購入した生地を用いた製品を見せに来る来場者も現れるなど、継続の成果を実感しているという。

 「BISHU WOOL COLLECTION」では、前回に続きデニムウールが好評だった御幸毛織(名古屋市西区)が、ウールの新たな可能性をテーマに、ウールを軸に麻やキュプラなど春夏素材を組み合わせた多彩なコレクションを展示し、バイヤーから高い評価を得た。

 中伝毛織(愛知県一宮市)は、あえてレディース寄りの構成でブース全体のバランスを取った。メンズ分野でもレディース要素が強まっていることから、今回のセレクションで反応を見極めたいとしている。

 出展生地の7~8割が新開発というササキセルム(同)は、今回で1シーズンの出展となる。洗えるウールシルク生地や小ロット対応素材を提案し、バイヤーの反応を探った。

 「HIROSHIMA TEXTILE INDUSTRY」は、篠原テキスタイル(広島県福山市)と山陽染工グループの中国紡織(同)が参加し、日本のデニム産地の魅力を前面に打ち出したが、集客は前回の約半分にとどまったとの印象。トレンドコーナー周辺には人の流れがあったものの、ブースまで来場者を呼び込めなかったと振り返る。日本のデニムが高い評価を得ている一方、関連企業の認知不足が課題として残った。

 遠州産地の復活を目指し、初出展したのが成和第一産業(浜松市)。綿素材を中心に、着物地を用いた縦柄や刺し子をアレンジした素材が注目を集めた。

 「TORAY SYNTHETIC TEXTILE」は、東レ3部門の集合ブース向かいという立地と既存顧客の強みを生かし、来場者数は多かった。カジレーネ(石川県かほく市)は、軽量性や機能性に表情感を持たせた合成繊維を得意とし、今後はウールとの複合を増やす方針。和紙素材ブランド「PPX」は特に引き合いが多かったという。福井経編興業(福井市)は、PU糸を用いたストレッチ素材や特殊編み組織による立体感のある生地、高通気素材を提案し、多くのピックアップを得たと評価する。

 会期は初日から順調な滑り出しで、2日目もその流れが続いた。一方、JOBの展開面積縮小により打ち合わせスペースが確保しにくく、全体的に窮屈さが目立った。奥まった配置となったことで、ブース位置による集客の差も顕著だった。

 円安が続く中、輸出に力を入れる企業は増加傾向にあるが、出展コストの負担は依然として重い。トレンド性のある素材開発を継続し、出展を重ねてバイヤーとの信頼関係を築くことが前向きな成果につながる。そのためには、自治体や行政の支援が不可欠だとする出展者の声が印象に残った。

〈バイヤー増加明るい見通し〉

 今回のMUでは、欧州からの出展者数が25%も増加した。バイヤーの来場は、米国(13・5%増)やフランス(8・5%増)が目立ったほか、韓国(10%増)、カナダ(6・6%増)、ドイツ(8%増)、日本(2・4%増)でも増加が見られた。

 シモーネ・カンクリーニ会長は、業界におけるリーダーシップの重要性を強調するとともに、若年層の参加促進が不可欠だと指摘した。持続可能性や製品の価値を消費者に的確に伝える必要性に加え、デジタル化や職業教育の重要性にも言及。特に北欧諸国の成功事例を紹介した。

 会期中のブースの雰囲気は、開会式で示された2026年に向けた明るい見通しを裏付ける穏やかな楽観論が広がる一方、変化する地政学的情勢への懸念も根強かった。ただ、多くの出展者は、新たな国際バイヤーとの接点を構築できた点に満足感を示した。

 今回のトレンドテーマは「MUコスメティック」。夏の季節感やニーズと強い一貫性を保っている。素材は天然繊維を中心とし、流動性や半透明感のある生地には、光沢感のあるアップリケや総柄を施し、軽やかさと動きを強調した。

 プリントは、トーン・オン・トーンのアニマル柄から、サンやナチュラルを基調とした幾何学柄、ストライプ、クロスライン、チェックまで幅広い。レースやマクラメは規則的な柄が特徴で、花柄モチーフは控えめにあしらわれていた。

 カラーパレットは提案されたカラーチャートに沿い、各テーマのバリエーションに加え、ベージュ、ブラウン、クリーム、ホワイトなどのニュートラルトーンが広く用いられた。素材の品質への回帰を重視し、バランスや機能性、色彩の洗練を追求した点が今回の特徴といえる。(ミラノでImago Mundi代表・両角みのり)