繊維ニュース

東レ/極薄の湿式不織布開発/複合紡糸技術で課題克服

2026年01月30日 (金曜日)

 東レは、厚みが3マイクロメートルの超極薄湿式不織布を開発した。複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使した特殊極細繊維を設計・活用することで、極薄と均一構造の両立を可能にした。次世代電池の電解質膜用支持体などへの提案を念頭に置きながら用途開拓を進める。

 同社によると、従来の極薄不織布は厚みが20~30マイクロメートルとされ、「10マイクロメートル程度が最も薄いタイプ」だった。極薄化には細い繊維を使用するというアプローチが取られるが、不織布を製造する過程で繊維が絡まり、孔径や表面形態が不均一になるという課題があった。

 新開発の極薄不織布は、ナノデザインを駆使することでそれらの課題を克服し、凹凸の少ない滑らかな表面も実現した。使用する繊維の単糸繊度は、衣料用途で展開している他のナノデザイン素材よりも細い。また、不織布製造工程で絡まるのを防ぐため、繊維の断面にも工夫を施した。

 技術的にはさらに薄い不織布を作ることも可能としているが、まずは3マイクロメートルタイプを提案して市場・顧客ニーズを探っていく。ポリエステル繊維のほか、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維などでも生産でき、耐熱性や耐薬品性への要望にも応じられる。

 今日30日まで東京ビッグサイトで開催している「nano tech2026(第25回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」で展示している。PFAS(有機フッ素化合物)フリー撥水(はっすい)生地「デューエイト」、分離膜技術、炭素繊維複合材料(CFRP)なども紹介している。

〈東レ大矢社長「全てに期待」〉

 東レの大矢光雄社長は28日、開催中のnano tech2026を視察した。会期初日の午前中に同社ブースに訪れ、「2026年度(27年3月期)に始動する次期中期経営課題では事業ポートフォリオの改革を行うつもりだが、ブースにはそのポイントになる素材や技術が詰まっている」と語った。

 さらに「熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPの接合技術は構造体の市場を変える可能性がある」との認識を示した。その上で「次期中経、その次の中経で花が開くものもある。どれか一つではなく、全てに期待している」とした。