特集 スポーツ&アウトドアウエア(2)/注目のスポーツ素材~機能性と可能性への期待/デサントジャパン/ゴールドウイン/ミズノ
2026年02月12日 (木曜日)
過酷な環境を克服し、パフォーマンスの最大化が求められるスポーツ・アウトドアウエア。その土台には常に合繊素材の進化がある。ウエア開発において、高機能素材はいかに新たな可能性を切り開くのか。機能と快適性を追求する合繊メーカーの戦略製品を紹介する。
〈新規開拓で成果出す/帝人フロンティア〉
帝人フロンティアのスポーツ向けテキスタイル販売が好調だ。主力の北米市場向けは計画を上回る勢いが続いている。独自性の高い素材を強みに新規開拓にも力を入れており、2026年度(27年3月期)は、その成果も出すことを目指す。
25年度のスポーツ向けテキスタイル販売は、引き続き輸出がリードしている。特に北米市場向けは売上高、利益ともに計画を上回るペースで推移した。一方、欧州市場は回復が遅れ気味。それでも欧州から域外へ輸出される製品向け生地の需要取り込みを進めた。中国市場は南通帝人と連携して獲得する案件も増えてきた。
同社の強みになっているのが、独自性の高い高付加価値素材。高バランスニット生地「デルタ」に続いて、8フィン断面ポリエステル長繊維「オクタ」を使った中わた一体型トリコット生地「オクタCPCP」や非起毛立毛構造ニット生地「サーモフライ」などが秋冬向けで拡大した。初夏向けはコットン調ポリエステル生地「アスティ」や新質感ポリエステル生地「ポリリズム」などの採用が拡大した。
26年度も積極的な拡販戦略を推進する。これまで北米などで新興アパレルへの提案にも力を入れてきたが、こうした種まきの成果を出す。その他、海外の展示会にも積極的に出展し、新規取引の獲得を進めるなどで、25年度を上回る業績を目指す。
〈ラミネート品など強化/旭化成アドバンス〉
旭化成アドバンスの機能衣料事業部は、主力のスポーツ衣料向けナイロン織物の拡充を進める。2024年に委託加工先で新型ラミネート設備を導入したほか、今年も特殊撥水(はっすい)加工設備の導入を予定するなど設備投資も積極的に進める。
25年度(26年3月期)はスポーツ向け織物がナイロン織物「インパクト」シリーズを中心に好調な動きを見せている。ここまで売上高は前年同期比10%増のペースで推移した。特に透湿防水生地「インパクトΣ」の販売が大きく伸びた。24年に委託加工先企業に新型ラミネート設備を導入した成果も出ている。
ただ、昨年12月に入ってからはインバウンド需要の減速などの影響でやや一服感も出てきた。また、学販体育衣料は流通在庫増加による調整が続いたことで販売量が減少しており、スポーツ向け織物の好調を一部相殺した形だ。
このため26年度は学販体育衣料の市況回復に期待すると同時に、引き続きスポーツ用途はナイロン織物を中心に販売拡大を目指す。特に需要が旺盛なラミネート品は新たに特殊撥水加工設備も導入し、細繊度糸使いへの対応力を強化する。
一方、国内の製造・加工スペース縮小による納期長期化への対応が課題となる。ラミネート品の納期は4カ月に達する。このため取引先との取り組みで受注と製造プロセスの工夫などによる納期短縮に取り組んでおり、現在は2カ月から2・5カ月で納入できる体制を構築した。
〈差別化丸編み地に注目/東洋紡せんい〉
東洋紡せんいは、スポーツ向け生地販売の拡大に取り組む。特に差別化原糸を応用した高付加価値な丸編み地への注目は高く、海外市場でも評価は高い。
近年、スポーツ分野は生地販売へ重点を移しつつある同社。2025年度(26年3月期)も高付加価値な丸編み地の販売が中国など海外市場を含めて拡大している。特にピン仮撚り糸「バウンザ」を応用した丸編み地や、天然繊維とポリエステル長繊維による独自の長短複合紡績糸「マナード」を活用した生地などの販売が拡大した。
26年度も引き続き国内外への生地販売拡大に力を入れる。バウンザ使いやマナード使いに加えて、欧米ラグジュアリー市場で高い評価を得ているナイロン高密度織物「シルファイン」の原糸を応用したナイロン長繊維丸編み地「シルファイン―Nニット」も重点提案し、高付加価値ゾーンに向けた拡販に取り組む。
一方、縫製品OEM事業も国内縫製工場の再編など構造改革を断行したことで採算が改善した。有力アパレルから新規受注を獲得するなど新規開拓も成果が上がる。26年度はサプライチェーンの一段の効率化を進めることで、縫製品OEMの競争力強化にも取り組む。
〈YKK/柔らかな止水性ファスナー〉
YKKの「アクアガード」は、ファスナーテープの表面をポリウレタンフィルムでラミネート加工し、止水性を持たせたファスナー。アウトドア向けに開発したが、雨水が染み込みにくいという特徴を生かし、スポーツに向けたアイテムでも採用実績を積み重ねてきた。
アクアガードは種類の豊富さも特徴とし、中でも「フラットニット アクアガード」は柔らかさ、薄さ、軽さに加え、生地へのなじみやすさも備えている。
「フラットニット」とは、ニットテープの製造時にエレメント(務歯)を編み込んだコイルファスナーの一種で、柔軟性を追求して製作した。端正なシルエット表現で、製品の意匠性を高める役割も果たす。
フラットニットを使用することで、通常のアクアガードよりもごわつきを軽減できたため、スポーツ・アウトドアにとどまらず、ビジネスシーンやキッズ向けの軽衣料にも用途を広げている。
挿入補助機能を付加したスライダーを使用したため、スライダー開口部の下面が大きく広がり、蝶棒が差し込みやすくなって操作性も向上した。





