繊維ニュース

技術の眼/東レ/帝人/アイナックス稲本/WILLTEX/バイオワークス/御幸毛織

2026年02月13日 (金曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウエーブを巻き起こし得る重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈東レ/極薄の湿式不織布開発〉

 東レは、厚み3マイクロメートルという超極薄の湿式不織布を開発した。従来は10マイクロメートル前後が限界とされてきたが、複合紡糸技術「ナノデザイン」を活用した特殊極細繊維の設計により、極薄化と均一構造を両立した。

 極細繊維を用いる際に課題となる繊維の絡みや孔径の不均一化に対し、単繊維の繊度を極限まで細くするとともに、断面形状を最適化。不織布形成時の絡まりを抑制し、凹凸が少なく滑らかな表面を実現した。ポリエステルに加え、耐熱・耐薬品性に優れるポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維にも対応可能で、次世代電池の電解質膜支持体など高機能用途への展開を視野に入れる。

〈帝人/極細炭素繊維を本格展開へ〉

 帝人は、溶融紡糸技術を応用した機能性極細カーボンファイバー「PotenCia」(ポテンシア)の本格展開を始める。ピッチとポリエチレンを混練・繊維化し、熱分解後に炭素化・黒鉛化し、繊維径約300¥文字(U+3328)㍍、繊維長15マイクロメートルの極細サイズを実現。高導電性や高放熱性を生かし、半導体製造装置や電池電極用途を開拓する。

 ポリベンゾイミダゾール(PBI)やポリフェニレンサルファイド(PPS)といった樹脂の複合で表面抵抗の低減や熱伝導率の向上が可能で、粉体販売を軸に需要の取り込みを図る。グループの帝人フロンティアは極薄炭素繊維ペーパーの拡販も進め、用途拡大を目指す。

〈アイナックス稲本/次世代型の業務用洗濯機〉

 業務用洗濯脱水機国内最大手のアイナックス稲本(東京都品川区)は、リネンが絡まず傷みにくい次世代型タンブルフロー洗濯機「NEO100ATF」の拡販を進めている。同機はテクニカルアドバイザーの吉川睦人氏が開発。従来機で課題となっていた生地の絡みや通水ムラ、摩耗を根本から見直した。

 洗濯槽中央に仕切り板を設け、360度回転ではなく反転動作でリネンを上部から落下させる独自構造により、生地同士の絡まりを防止。均一な通水を実現し、短時間でも高い洗浄力を確保した。洗浄時間は従来の2分の1~5分の1に短縮され、洗浄効率も大幅に向上。生地ダメージを示すMA値も大きく低減し、細番手などのデリケート素材の洗浄にも対応する。脱水効率向上による乾燥性改善や、水・洗剤使用量削減も開発成果の一つだ。

〈WILLTEX/加熱・太陽光発電の多機能リュック拡販〉

 繊維・電化製品を手掛けるWILLTEX(ウィルテックス、横浜市)は、食品加熱と太陽光発電機能を備えた多機能リュック「WILLCOOK SURVIVE」(ウィルクックサバイブ)の拡販を進めている。道路作業員の厳冬期作業を想定し、装備自体が“可搬型エネルギー・加熱システム”として機能する点が特徴だ。

 着脱式ソーラーパネルと、三機コンシス(東京都江戸川区)が開発した導電繊維発熱技術「ホットピア」を用いた布製ヒーター加熱ポーチを組み合わせ、モバイルバッテリー給電で40~140度の温度制御が可能。レトルト食品や飲料を効率的に加熱できる。18㍗出力の太陽光給電にも対応し、停電時の電源確保や防災用途にも活用できる。

 首都高メンテナンス神奈川(横浜市)の道路作業員向け装備として採用されたほか、同社を通じた外部販売も開始した。

〈バイオワークス/使用後の靴下からPLA再生〉

 改質ポリ乳酸(PLA)コンパウンドを手掛けるバイオワークス(京都府精華町)は、PLA繊維製靴下の使用後製品からPLAを再生する技術を確立した。PLA繊維「PlaX」を用いた靴下を回収し、ケミカルリサイクルによって高純度モノマーを取得、再重合によりPLA樹脂へ再生する。

 実証では、熱水処理によりPLAと他素材を分離し、加熱・減圧工程でモノマーを回収。再生PLAは通常品と同等の性能を示した。LCA(ライフサイクルアセスメント)試算では、バージン原料比で約9%のCO2削減効果を確認。一方、分離工程での収率向上や事業化を見据えたコスト低減が今後の課題となる。

〈御幸毛織/ミズノと高機能ウール混コート〉

 服地・スーツ製造販売の御幸毛織(名古屋市西区)は、ミズノと共同で、高機能ウール混素材を用いたステンカラーコートを開発した。尾州で織り上げたウール50%・弾性ポリエステル50%の高密度サージを表地とし、ポリウレタン製ラミネートフィルムを点接着した2層構造が特徴。ウールの風合いを維持しながら、スキーウエア水準の耐水・防水・防風・耐摩耗性能を付与した。

 生地開発では、フィルムの材質や厚み、接着方法を細かく調整し、柔軟性と伸縮性を確保。天然繊維とスポーツ用途機能の融合という新領域を切り開いた。