繊維ニュース

異業種企業/繊維に新潮流起こす/既存事業のノウハウ生かす

2026年02月16日 (月曜日)

 異業種の企業が既存事業で培った技術やノウハウを生かし、繊維関連事業に進出する事例が増えている。異業種ならではの視点は潜在需要を掘り起こし、繊維からも新たなビジネスが生まれる可能性を提示する。(強田裕史)

 東日印刷(東京都江東区)は、新聞印刷を主力事業とするが、新規事業の開発、育成にも力を注ぐ。中でも祖業である印刷の技術を活用し、多分野で展開しているのが電照布看板「ルーファス」の事業だ。

 ルーファスは布の周囲にラバーを縫製し、LED内蔵のアルミフレームにはめ込んだ看板で、ユーザー自身で簡単にはめ込みができる。印刷に大型の昇華転写プリンターを使用し、畳んでも折りジワがつかないようにした。

 メディア(布)にはペットボトル由来の再生素材を100%使用し、環境配慮のニーズにも対応する。エコマークなど各種の環境関連認定・認証も取得した。

 国内のサイネージ(看板、標識)はアクリル板が主流だが、欧州では布製が浸透していることもあり、同社はルーファスを将来的に成長が見込める商材と位置付けている。

 これまで大型商業施設やオフィス空間、スポーツチームなどへの採用実績を積み重ねており、今後も幅広い業種での用途開拓を図る。

 王子ファイバー(同中央区)は、紙・パルプの大手専門商社である国際紙パルプ商事の関係会社で、紙糸とそれを使った生地の製造・販売を行う。紙糸を「かみのいとOJO(オージョ)+」というブランド名で展開し、アパレル製品などに向け提案してきた。

 このほど、プロ野球で使われたバットを再生させた紙糸素材を開発した。同素材で製造された野球用バッグは、ミズノが契約するチームで使用される。

 折れたり製品化に不適合となったバットを、紙糸の再生素材として循環させる取り組みは、ミズノ、キュアラボ(沖縄県浦添市)、王子エフテックス(東京都中央区)と協業で進める。この循環事業を通じ、スポーツ分野にも紙糸の用途を広げる。

 トヨタ自動車が推進する「トヨタアップサイクル」は、自動車の製造過程で発生する再利用が困難な廃棄物を原料として再生させ、これを使って新たな製品を生み出す。取り組みの輪は多様な業種、分野に広がっており、製品のバリエーションも着実に増えている。

 豊島とアーバンリサーチが参画した3社連携による取り組みも進んでいる。雑貨・小物類から始まった商品展開も、2025年にはアパレルにまで範囲が広がった。ウェザージャケット、フィールドオーバーコート、オーガニックコットン使用のTシャツといった商品は、アーバンリサーチが大阪・関西万博の会場に開設した店舗でも販売され、プロジェクトの認知度を高める機会を得た。