ひと/帝人フロンティアの次期社長に決まった鎌田 進 氏/変ずればすなわち通ず
2026年02月20日 (金曜日)
4月1日付で帝人フロンティアの社長に就任する。10月には旭化成アドバンスとの経営統合を控える同社。企業系列を超えた統合という大変革のかじ取りに挑むことになる。
入社後、最初に配属されたのは重布・帆布などを扱う東京工繊部。帝人フロンティアの前身企業の一つであり、かつて“船場八社”に数えられた竹村棉業の商権を受け継ぐ部署だった。「当時の上司には『君たちは帝人商事に入社したのではなく、竹村棉業に入ったと思え』と言う人までいた」とか。帝人だけでなく、多様な源流を持つ帝人フロンティアらしい環境の中でキャリアをスタートさせた。
その後も産業資材畑でキャリアを重ね、タイ子会社でシングルエンドコードなどの生産販売も担当した。「当時、受注が悪く工場稼働に苦労した。そこで現地スタッフと文化の違いを乗り越えて理解し合い、課題を克服した経験が財産」と話すように、海外経験と製造業に関する知見も十分。産業資材部門のトップを経て、満を持しての登板となる。
座右の銘は「窮則変、変則通」(窮すればすなわち変ず、変ずればすなわち通ず)。『易経』の一節で、物事は行き詰まれば変化が生じ、変化すれば道が開けるという意味。「仕事で行き詰まっていた時に、先輩から掛けてもらった言葉。自分も変わろうと意識したことで危機を乗り越えることができた」と振り返る。
ウクライナ危機に代表される地政学リスク、中国など新興国の企業との競争激化など繊維業界を取り巻く環境は厳しさを増している。“窮すればすなわち変ず”時代に突入した。そうした中、同社は旭化成アドバンスとの経営統合という大変革に挑戦する。文字通り“変ずればすなわち通ず”を目指すことになる。
ちなみに易経では「窮則変、変則通」の後に「通則久」(通ずればすなわち久し)と続く。変化によって道が開けば、その先に安定した成長があるということ。“窮変通久の法則”を実践し、帝人フロンティアを新たな成長ステージに乗せることが鎌田さんの仕事となる。
趣味は天体観測。天文台でボランティアスタッフも務めるアマチュア天文家だ。今も自宅の天体望遠鏡で夜空を眺めながら英気を養う。宇宙もまた法則が支配する世界。そこにも窮変通久の法則を見ているのかもしれない。
(宇)
【略歴】かまた・すすむ 1989年中央大学商学部卒、帝人商事(現・帝人フロンティア)入社。NI帝人商事東京工繊部長や工繊・車輛資材本部副本部長、テイジンFRAタイヤコード〈タイランド〉取締役、テイジンフロンティア〈タイランド〉社長などを経て2020年執行役員、21年産業資材部門長、22年常務執行役員、24年から取締役、26年4月1日付で社長就任予定。神奈川県出身。61歳。





