特集 染色加工(4)/新たな取り組みを進める/三景/尾張整染/帝人テクロス/サカイナゴヤ/茶久染色
2026年02月25日 (水曜日)
〈快適性追求の芯地開発/生産現場のサステ対応強化/三景〉
服飾資材大手の三景(東京都江東区)は、シニア層、高機能、サステイナブル商品領域では局所的な成長の余地があるとみており、注力先と位置付けて開発、対応を進めている。
染色部門は、ラグジュアリー、機能性衣料、特殊用途分野への新商品開発と提案に注力する。中でもキュプラ素材を中心に、快適性や多機能性の進化を図った商品や、薄手素材に適応できる芯地の開発・販売を行っている。
サステ対応強化の面では、節水、節電、紙の削減などにメンバー全員で取り組んでいる。併せて、製品提案力の向上を進めるとともに、働きやすい職場環境の整備や魅力あるキャリアビジョンの形成により人材確保を強化し、工場運営の持続的な競争力向上も目指している。
一方で、国内の染料メーカーや仕上げ薬品メーカーの廃業、生産品目の縮小を受け、原材料調達先の多様化を進めながら品質の安定化を図るといった、継続的な改善を重要視した対応に取り組んでいく。
〈インテリアへ提案強化/若手開発陣の育成も課題/尾張整染〉
カーシート地など自動車内装材向けの染色加工が主力の尾張整染(愛知県一宮市)は、カーテン、イス張りなどインテリア用途への提案に力を入れる。現在、加工数量の30%を占めるインテリア比率は将来的に50%を目指す。
開発案件は自動車内装材とインテリアでほぼ半々。異業種交流展「メッセナゴヤ」出展や単独展「加工技術プレゼンテーション」(今夏開催予定)の開催を通じて開発案件はもちろん、インテリアの実商売にも結び付けるなど成果を上げる。また、新規開拓には「人材育成が重要」(中島俊広常務)とし、若返りが進む開発人員の成長も加速させる。
今期(2026年3月期)は本社工場・石川工場(石川県能美市)とも安定稼働を維持した。撤退企業の商権を継承したことも寄与し、前期比増収増益を確保できる見通し。来期も加工数量は維持できるものの、将来に向けて自動車内装材以外の開拓に取り組む。また、人手不足の中でも毎年新卒を採用できており、今春も2工場それぞれに3人が入社する。
〈一貫生産の強みを訴求/JYに継続出展し発信/帝人テクロス〉
帝人テクロス(愛知県稲沢市)は糸染め、糸加工、織布、編み立てまで一貫生産の強みを訴求する。その一環として、19、20日に開催された「ジャパン・ヤーン・フェア」(JY)に昨年に続いて出展した。
同社はSUMINOEグループのスミノエテイジンテクノ(大阪市中央区)の子会社で、尾張整染(愛知県一宮市)の親会社に当たる。自社生産を増やし外注比率を引き下げるため、設備更新など生産体制を整備してきた。
今期(2026年3月期)は微増収も減益となる見通しだが「来期に向けて陣容も変えながら一段とギアを上げていく」と尾張整染の常務でもある中島俊広取締役は言う。
JY出展をはじめ発信力を強化しており、今回のJYではブースでデモも行った顔料によるチーズ染色のほか、モノフィラメントのチーズ染色、水溶性ビニロンの染色、さらにメランジ調の丸編み地などを提案し、来場者の関心を集めていた。
〈開発強化策が奏功/選ばれる染色加工場へ/サカイナゴヤ〉
サカイオーベックス子会社のサカイナゴヤ(愛知県稲沢市)は主力のユニフォーム地などの回復もあり、2026年3月期は前期比10%増収となる見通しだ。前期は上半期に苦戦を強いられたが、今期は堅調な受注を確保した。受注減の際に開発を強化した効果も寄与する。
軽量・ストレッチの要望が強いユニフォーム以外に丸編み・トリコット、ボンディングを含めて開発案件は30%増。来期以降も「この水準で開発を続ける」と角野和夫社長は強調し「ニーズに応え、需要家から声がかかる染色加工場を目指す」考えだ。
編み地も来期、スポーツを中心に新規案件の受注に手応えがある。課題のボンディング加工も来期はフル稼働に近いところまで高めるめどが付きつつある。編み地、ボンディングとも軽量、ストレッチに対応した加工という。
前期から取り組む再加工品の削減はさらに強化する。それら生産効率の向上は、受注回復に伴う納期対応のためという意味もある。
〈無線通信など特殊繊維訴求/新規事業で用途開拓に注力/茶久染色〉
チーズ染めの茶久染色(愛知県一宮市)は特殊繊維の販売といった新規事業に力を入れている。無線通信や導電などの繊維を展開しており、さまざまな用途への開拓を図る。
今後広がりを見せそうなのが「フルフィーロ」だ。RFID(無線通信による個別管理システム)インレイ(アンテナ付ICチップ)を繊維に組み込んでおり、曲げたり、結んだりできるのが特徴だ。
狙う用途はメディカル向け。医療現場では手術後に使用したガーゼの枚数を確認する。患者の体内にガーゼが残る事故を防ぐためだが、目視で確認するため大変な手間がかかる。
ガーゼの一部にフルフィーロを使えば、読み取り機で容易に確認ができる。事故を防ぐとともに看護師の負担軽減にもつながる。問い合わせは多いものの、コスト面で割高となるのが課題だ。
一方で、カーボンナノチューブをポリエステル長繊維にコーティングした導電糸「キューナック」はヒーター向けで採用が進んでいる。





