東レの短繊維事業 国内工場に積極投資

2026年02月27日 (金曜日)

 東レの短繊維事業部は、2026年度(27年3月期)から始まる次期中期経営課題の中で、国内工場を中心に積極的な設備投資を実施する。ポリエステル短繊維とアクリル短繊維ともに「商品の一段の高次化で持続可能な高収益体質を構築する」(中島健太郎短繊維事業部長)ことを目指す。

 短繊維事業のうち、特にポリエステル短繊維は海外品との競争激化によって、同社の「収益性が低迷している特定事業・会社の構造改革(ダーウィン・プロジェクト=Dプロ)」の対象となっていた。このため構造改革の一環として国内生産拠点である愛媛工場(愛媛県松前町)は連続重合設備を昨年9月で停止し、バッチ式重合に集約するなどで生産能力の適正化を進めた。また、低採算品の縮小や価格改定と拡販に努めたことで現在は採算が改善している。

 構造改革が一巡したことを受け、26年度から「高収益体質の確立に向けて愛媛工場の設備の入れ替えなどを積極的に進める」ことで生産品種の高次化に取り組む。既に独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を応用した高付加価値わたなどの開発が進む。需要拡大が続いているショートカットファイバーにも力を入れる。

 一方、アクリル短繊維は主力の保温インナー向けの堅調が続いており、中国への輸出も特定ユーザーに向けた開発品供給が安定的に続いている。ただ、アクリル繊維全体の需要縮小は深刻さを増していることから、需要の掘り起こしが一段と重要になるとの認識だ。

 このため、現在取り組んでいるマスバランス方式ケミカルリサイクルわたの本格販売を急ぐ。現在、カスケイル(旧サステナブルアパレル連合)の環境負荷評価ツール「Higgインデックス」への登録を進めており、26年中には登録が完了する見通しだ。マテリアルリサイクルの研究もパイロット設備で進めている。環境負荷低減の取り組みを強化することで、他素材に対する競争力を高める。

 また、日本で生産されるアクリル短繊維が減少するなどプレーヤーが減少する中で、日本のアクリル繊維メーカーとしての打ち出しを強めることもテーマに掲げる。そのために同社のアクリル短繊維の商標「トレロン」のリブランディングなども検討し、国内外市場での存在感を一段と高める方針を掲げる。