特集 事業戦略(4)/シキボウ/上席執行役員繊維部門長 尾﨑 友寿 氏/UTC融合の新体制始動/強みの掛け合わせで攻勢

2026年03月03日 (火曜日)

 シキボウの繊維部門は、2025年12月30日付でユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業を承継し、1月から130人を迎えた新体制が始動した。第3四半期(25年4~12月)は、不採算事業の見直しなど、“選択と集中”の成果により、利益は計画を上回って推移している。尾﨑友寿上席執行役員は「互いの強みを融合し、“共創”することで、新しい価値を生み出す」と話し、4月からの本格稼働に向けて次なる成長軌道を描く。

――第3四半期は売上高150億円(前年同期比5・9%増)、営業利益は4億4千万円と黒字浮上を果たしました。

 第3四半期まではシキボウ単体の業績となりますが、売上高は予算通りに進行し、利益面は想定を上回る水準で推移しています。これは19年から粘り強く進めてきた“選択と集中”が着実に実を結んだ結果だと感じています。

 その成果は各分野に表れています。中東民族衣装向けの生地輸出は、通期で横ばいから10%増を見込む順調なペースを維持しています。ユニフォーム分野では、価格改定の浸透と別注案件の獲得が進み、収益性が向上しました。

 ニット製品でも体操服など学販用途が拡大し、生活資材事業の寝装品向けは子会社の丸ホームテキスタイル(大阪市中央区)と連携したモノ作りが下支えしています。原糸販売では子会社の新内外綿(同)との人材交流が進み、現在の人員で最大限の成果を出せる効率的な体制が整いました。

――1月から新体制が始まりました。

 UTC事業の数字が第4四半期から加わります。今回の統合で最も期待しているのは、互いの強みの掛け合わせです。素材ではシキボウの天然繊維や短繊維に対し、UTCは合繊や長繊維を、製品では編み地に対し織物と、相互に補完し合える関係にあります。

 海外拠点についても、非常に効率的な体制になりました。例えばベトナムでは、シキボウが南部のホーチミン、UTCが北部のハノイというように、同じ国の中でも異なる地盤を持っています。UTCの拠点が加わることで、当社の海外拠点は生産・販売合わせて9拠点となりました。

 この基盤を生かし、これまでUTCが取り扱っていなかった中東向け生地の海外拠点を通じた展開など、相互活用を加速させます。UTCが強みを持つスポーツ分野の商権に、当社の機能加工や短繊維素材をプラスして提案することで、これまでにない相乗効果を狙います。

 ユニフォームでは、備蓄アパレルに強いシキボウと、別注案件に強いUTCが融合します。今後はアジア圏に工場を持つ日系企業や欧米市場など、海外販売にも注力していきます。官需向けもしっかりと引き継ぎ、分野全体でのシェア拡大を図ります。

――4月からの本格稼働に向けて。

 現在は、最も効果的な人員配置に向けた最終調整の段階にあります。営業面では、UTCと販売先が重複しているエリアの“交通整理”を急ぎ、営業効率を最大化させます。商品面でも、類似品種の集約や生産ロットの取りまとめなど生産効率の最適化を図っていきます。

 UTCから多くの技術者も合流しており、既に技術交流が始まっています。両社の知見を合わせることで商品開発のスピードを一段と加速させます。

 UTCの商権については、売り上げ規模の拡大よりも利益を重視します。現状の収益性だけで継続の可否を判断するのではなく、当社の生産背景や加工技術と組み合わせることで高付加価値な提案へ転換できる可能性も視野に入れます。そのためにもまずは全案件を丁寧に精査します。シナジーを最大化し、収益力の高い事業構成を目指します。

――生産体制や設備投資の状況は。

 生産現場は活況です。シキボウ江南(愛知県江南市)では、既存のオーダーに加え、UTCが扱っていたユニフォーム地の生産も加わるため、ラインが埋まりつつある状況です。生産効率を向上させるため、シキボウ江南やインドネシア子会社のメルテックスで、織機や染色加工機の更新など、設備投資を計画的に進めていきます。

 メルテックスへ生産移管した複重層糸「パルパー」については、製造に精通した専門の技術者を現地に派遣しており、4月からの本格的な量産に向けた準備は万端です。当社の「ツーエース」とパルパーの両方を提案できる強みを最大限に生かし、2層構造糸分野での優位性を確固たるものにします。

――人材の融合については。

 UTCとの融合は非常にスムーズです。以前から合同展などで顔なじみが多かったことに加え、1月の入社式を経て距離が縮まりました。今後は互いの業務への理解を深めるため、交流の場を積極的に設けていく予定です。

 出身会社の垣根を越えて、切磋琢磨(せっさたくま)し、来期の飛躍に向けた強固な組織を築いていきます。