転換期に挑む~メーカー系商社の現在地①/帝人フロンティア

2026年03月04日 (水曜日)

新たな成長ステージへ

 世界的なインフレ高進やトランプ関税、中国による過剰供給など、繊維を取り巻く国際的な市場環境が大きく変化している。転換期に挑む素材メーカー系商社の現在地を探った。

 帝人フロンティアは、今年10月に旭化成アドバンスと経営統合する。合繊メーカーの系列を超えた統合は珍しく、業界地図を大きく塗り替える試みとなる。経営統合によって新たな成長ステージに乗るべく、2025年度も着々と事業基盤の強化に取り組んだ。

 25年度は、衣料繊維部門の堅調が続く。素材事業は特に円安の追い風もあってスポーツ向けテキスタイル輸出が好調だ。ポリエステル長繊維など原糸もカーテン用などが健闘した。製品事業は海外縫製が中心のためこちらは円安が逆風だが、スポーツ・アウトドア衣料がリードし、カジュアル衣料も悪くない。重衣料は市場縮小が続いているが、有力アパレル・流通との取り組みが奏功している。

 一方、産業資材部門は自動車関連の需要がやや調整局面となった。工繊・車両資材は、タイヤコードが中国品との競争激化。カーシートはシート地に加えて、合成皮革シート地の基布などにも力を入れた成果が出ている。ゴム資材用途も堅調だ。インフラ・環境素材は重布などが堅調。不織布や人工皮革を扱う機能資材事業は底堅く推移する。短繊維は、ポリエステルショートカットファイバーの好調が継続している。

 26年度は旭化成アドバンスとの経営統合が控える。衣料繊維部門は引き続き海外市場を重視する。欧米へのテキスタイル輸出に加えて「ASEAN市場も重視する」(福谷将彰取締役兼執行役員衣料繊維部門長)として、域内での素材・製品の生産・販売を拡大する。そのために機能性や環境配慮など差別化された素材を軸にした提案を糸・生地だけでなく製品でも強化する。

 産業資材部門は25年度に伸び悩んだタイヤコードなど自動車関連用途のテコ入れに取り組む。「アラミド繊維使いなど、自社の強みのある商材を重点的に伸ばす」(鎌田進取締役兼常務執行役員産業資材部門長)考えだ。また、エアバッグ基布は中国の帝人汽車飾件〈常熟〉(旧・東洋紡汽車飾件〈常熟〉)をグループに加えた。M&A(企業の合併・買収)の成果を上げることを目指す。

 ポリエステルショートカットファイバーは、タイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉に加えて同じくタイ子会社のテイジン〈タイランド〉(TJT)でも生産することを決めた。27年度末までに製造ラインを稼働させる計画だ。

 既存事業の収益基盤を強化し、旭化成アドバンスとの経営統合で新たな成長ステージに進むことを目指す。