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帝人フロンティアと旭化成アドバンス/統合への期待高まる/得意分野生かしたシナジーを

2026年03月05日 (木曜日)

 今年10月、帝人フロンティアと旭化成アドバンスが経営統合する。日本の合繊産業の歴史においても注目すべき挑戦といえよう。統合に向けた具体的な作業は4月以降に始まるとみられるが、既に関係者の間では前向きにとらえる見方が大勢を占めるなど期待感が高まってきた。(宇治光洋)

 帝人フロンティアと旭化成アドバンスは、それぞれ帝人グループと旭化成グループの繊維事業を担う中核事業会社としてこれまで展開してきた。大手合繊メーカーの系列を超えた統合はこれまでもあまり例がなく、日本の合繊産業が新たなステージに向かうことを示唆する取り組みといえる。

 現在は独占禁止法などの規定をクリアするため、当局による審査と事務的手続きが進められている段階で、統合に向けた事業ベースでの取り組みはまだ始まっていない。3月中には当局の承認も得られる見通しとなっており、10月の統合に向けた具体的な作業は4月以降に始まるとみられる。

 しかし、既に両社の関係者の間では統合を前向きに捉える声が大勢を占める。帝人フロンティアは平田恭成社長が4月1日付で取締役兼取締役会議長兼統合準備室長に転じ、統合に向けて万全の体制を敷く。平田社長は統合会社に関して「連結で売上収益4400億円、事業利益220億円規模でのスタートとなる。まずは互いの良いところを足し算して規模を大きくし、顧客に選ばれる会社を目指す」と話す。

 帝人フロンティアの次期社長に決まった鎌田進取締役兼常務執行役員も「統合を着実に執行する」と強調。産業資材部門長としては「旭化成アドバンスにはエアバッグ縫製やポリエステルスパンボンド不織布の事業があり、建設業許可も持っている。当社のタイヤコードやカーシート、エアバッグなど自動車関連事業、重布や不織布による環境インフラ事業や生活資材事業とのシナジーが期待できる」と話す。

 衣料繊維部門部門長の福谷将彰取締役兼執行役員は「当社はポリエステル繊維が中心であり、旭化成アドバンスはナイロン繊維やキュプラ繊維を得意とする」とし、素材を軸にした開発・提案に力を入れる中で、強みとなる素材のバリエーションが広がることへの期待は大きい。

 一方、両社とも産地に委託生産先企業が多い。産地には統合による調達ソースの変更を懸念する声もある。この点に関して旭化成アドバンスの繊維本部長である坂元盛也取締役兼専務執行役員は「当社としては従来通りの発注を計画している。なにより両社統合でそれぞれが得意なものを伸ばし、販売量を増やすことが産地への発注拡大につながる」と明言する。

 両社は給与体系や福利厚生制度も異なり、さらに社風など無形の文化的相違もある。それらをどのように融合してくかも大きな課題だ。丁寧なコミュニケーションと真摯(しんし)に考えを伝え合うことが欠かせない。統合によって、どのような“化学反応”が起こるのか、両社の挑戦に対する注目と期待が高まっている。