特集 学生服と環境教育(4)/環境教育最前線/探究学習で一歩踏み出す/早稲田大阪高等学校
2026年03月06日 (金曜日)
早稲田大阪高等学校(大阪府茨木市)は、実践的な探究学習を軸に、生徒の主体性を育む教育に力を入れている。企業訪問や衣服の資源循環活動、地域ボランティアなど、教室の外での体験を通じて、社会課題を“自分事”として捉え、自ら行動できる人材の育成を目指している。
〈社会での実体験を学びに〉
同校は1962年、日本紡績協会が「大阪繊維工業高等学校」として設立した。2009年に早稲田大学の系属校となり、25年4月に現校名へ変更し、「早稲田」「文理」「総合」の3コース体制へ改編した。
制服は、詰め襟とセーラー服を採用している。22年度からは菅公学生服が供給を手掛け、家庭洗濯ができるウオッシャブル対応の素材へと刷新した。耐久性と着心地が向上し、一着の制服を長く大切に着る習慣が、身近な環境配慮を促すきっかけとなっている。
新設した総合コースには現在、約170人の1年生が在籍する。「創造力・表現力・実行力」をコンセプトに掲げ、教室外での実体験を重視するカリキュラムを構築している。総合コース長の神谷雄毅教頭補佐は「生徒が自ら一歩踏み出す力を育てていきたい」と力を込める。
カリキュラムの柱の一つが、NPO法人のじぶん未来クラブ(千葉県流山市)と連携した「アポイトメント・プロジェクト」(通称=アポプロ)だ。生徒が興味のある企業や著名人に自ら電話でアポイントを取り、直接インタビューを実施してリポートにまとめる。訪問先はスポーツメーカーや飲食店、学校、博物館など多岐にわたる。
アポイントは断られることも少なくないが、その過程も含めて、「一歩外に出る」という体験を積むことで、生徒は自ら判断し、行動に移す主体性を着実に養っている。
〈制服回収から資源循環体感〉
環境問題へのアプローチも、生徒が主体的に動く取り組みの一つとして位置付ける。昨年、総合コースの生徒たちは資源循環事業を手掛けるJEPLAN(川崎市)の岩元美智彦会長の講演を聴講した。
環境配慮は資源循環にとどまらず、地下資源の奪い合いを防いで世界平和にもつながるという考え方に深く共感し、環境課題への関心を大きく高める契機となった。
この学びを受け、同校では菅公学生服とJEPLANが協業して進める古着のリサイクルプロジェクト「BRING」(ブリング)を活用した「制服循環エコスクールプロジェクト」を導入。不要になった制服・体操服を回収するオリジナルボックスを総合コースの5クラスに1箱ずつ設置した。
同コースで環境課題に関心を持つ生徒3人が有志で集まり、回収ボックスの設置に合わせて生徒たちの前で活動の意義を説明した。「制服と体操服をただ廃棄するのではなく、資源循環に活用することの重要性」を呼び掛けた結果、4箱が満杯になる成果を上げた。
ペットボトルのリサイクル過程をすごろくで学ぶJEPLANの「リサイコロ」も3人で体験した。普及に向け、自らが体験して感じたことをJEPLANに提案するなど、学びを行動へと移している。
25年11月には、菅公学生服の展示会でこれまでの取り組みの成果を発表した。社会に向けて発信する場を設けたことで、生徒たちの体験はより深まった。
〈地域の環境課題に向き合う〉
学内のボランティアセンターを拠点に、地域社会と連携した活動を幅広く展開している。年に5回、希望者を募って地域のごみ拾いを行うほか、ユズ搾りの体験ボランティアに参加し、持ち帰ったユズを粉末化して入浴剤への活用を検討するなど、廃棄される果実の有効活用にも取り組む。
地域の課題となっている地元の放置竹林を整備する地域団体の活動に年2、3回加わり、竹の間伐作業も手伝っている。持ち帰った竹を竹細工に加工して茨木市のイベントに出展するなど、伐採にとどまらない持続可能な活用方法を模索してきた。最近では伐採した竹を炭にする試みも始め、廃棄資源に新たな価値を見いだす体験が、生徒の意識を高めている。
神谷教頭補佐は「一歩踏み出したという経験を通じて、確かな自信を育んでもらいたい」と話し、生徒たちが社会課題と向き合う教育活動をさらに推進していく。





