特集 学生服と環境教育(5)/環境教育最前線/享栄高等学校/多彩な進路に寄り添う教育
2026年03月06日 (金曜日)
享栄高等学校(名古屋市瑞穂区)は多彩な分野で活躍する人材を多数輩出してきた。普通科、商業科、機械科の3学科をそろえ、生徒の進路に寄り添った教育に力を入れる。4月から導入する新制服は環境性能の高い素材を使用しており、県内では初の採用となる。さまざまな着こなしが可能なアイテムをそろえ、生徒の個性と経済性を両立させた。今年で創立113年目を迎える同校は新たな制服とともに、次なる一歩を踏み出す。
〈地域に開かれた学校〉
同校は「誠実で信頼される人に」を校訓(建学の精神)として掲げ、1913年に創立。同市内でも歴史ある学校の一つとして位置付けられる。「次代を担う人材育成」をテーマに、変化が激しい時代の中でも活躍できる人材の輩出に努めてきた。
全校生徒は約1500人在籍しており、生徒の夢や多彩な進路に応えられる環境を整えている。難関大学を含めた進学を目的とした普通科に加えて、商業科と機械科を設置。この2学科の中にはエンジニアやプログラマー、クリエーターなどを目指せる複数のコースを用意する。
地域に開かれた学校を目指している。地域との交流を目的に開催する「土曜セミナー」は同校の教員だけでなく、地域の人たちも講師を務める。特技や趣味を生かして開かれるセミナーは生け花や和太鼓、ヨガなど多岐にわたる。セミナーによっては生徒に限らず誰でも受講できる。生徒会を中心にボランティア活動も盛んだ。
〈環境配慮と経済負担軽減を〉
新制服の導入に向けて、検討委員会が立ち上がったのは2024年9月だった。教員がメンバーとなり、新制服のコンセプトを「環境配慮」と「家庭の経済的負担の軽減」に決めた。
特に経済的負担については、現行の制服は購入しなければならないアイテム数が多く、制服にかかるお金が膨らみがちだった。
その後は学生服メーカーによるコンペを行い、明石スクールユニフォームカンパニーが提案した制服に決めた。環境に配慮した素材を使用していることや、使用済み制服のリデュース、リユース、リサイクルの流れが構築できていること、ウオッシャブル対応で家庭洗濯ができることなどが評価ポイントだった。
制服のデザインには生徒の意見も取り入れた。生徒会を中心にボタンやリボン、ネクタイといった細部のデザインを考案した。25年5月に新制服が完成し、同年8月に行われた学校説明会で大々的に披露した。
新制服は現行と比べて大きく変わった。ジャケットのカラーはこれまでカーキだったが、濃紺の落ち着いた色に刷新した。シャツやボタンの色で学年を分けていたが、それを廃止し、ジャケット上襟にスクールカラーのエンジでパイピングを施し統一感を持たせた。
バリエーションを増やし、選択の幅も広げた。シャツはホワイト、ブルー、ピンク、リボンはエンジ、ブルー、グリーンの各3色をそろえた。スラックスは夏・冬服で同じデザインだが、購入はどちらか一本でもよいことにし、家庭の経済的負担を軽減。学校指定だった、かばんや靴下は市販品も選べるようにした。
年々、気温上昇が続く夏場対策として、制服にハーフパンツを取り入れた。スポーティーなデザインで、速乾性にも優れる。ポロシャツと組み合わせることで、涼しげな装いが可能だ。
〈県内初採用のサステ制服〉
新制服はサステイナビリティーにこだわったことも特徴だ。明石スクールユニフォームカンパニーが協業するCLASS EARTH(クラスアース、東京都中央区)のSDGs(持続可能な開発目標)制服企画を県内で初めて採用した。制服の生地やボタンなどにも環境配慮を意識し、制服を環境について学べる「教材」として役立てる狙いがある。
ジャケットに使ったポリエステル長繊維とウールを組み合わせたサステ素材「エコロジーズ」は、マイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぐ。長繊維にすることで短繊維と比べてマイクロプラスチックの脱落を減らした。
明石スクールユニフォームカンパニーによると、従来品と比べて90%削減できるという。ボタンは再生PETを活用した。
新制服について在校生からの反応は上々だ。「制服でありながら選択の幅があり、個性が尊重されている」(3年女子)、「実際に着ると着心地が良く動きやすいため、毎日の学校生活をストレスなく過ごせそう」(3年男子)などの声が上がった。





