転換期に挑む~メーカー系商社の現在地⑤/クラレトレーディング

2026年03月10日 (火曜日)

用途越えて高付加価値化

 クラレトレーディングは、2026年度(26年12月期)から繊維部門を新設した。クラベラ事業部と繊維素材事業部を統括するとともに、部門直下には繊維統括マーケティング部も新設した。分野や用途を横断した開発とマーケティングを強化する。

 同社の25年度繊維関連事業業績は、取扱高431億円(前年度比横ばい)、売上収益323億円(0・2%増)、営業利益24億4300万円(2・5%減)だった。うち衣料分野は増収増益。スポーツ用途は縫製品が堅調に推移し、国内と中国での販売が好調で増収増益。学校体育服は受注減とコストアップの影響で減収減益だった。

 一方、資材分野は減益。メディカル用途はコストアップで減益となり、中国向け原糸販売が苦戦した。人工皮革「クラリーノ」も自動車用途が顧客の生産調整により減収減益だった。

 こうした中、26年度からは繊維部門として繊維統括マーケティング部も加わり、衣料用途中心のクラベラ事業部と資材用途を担う繊維素材事業部の枠を超えたマーケティング活動や商品開発を推進することになる。繊維部門長を兼務する上野裕樹取締役クラベラ事業部長は「事業部の枠を超えて、さらなる高付加価値化やサプライチェーンを強化することが狙い」と話す。

 クラベラ事業は既に縫製品までの一貫体制が整備されているのに対して、繊維素材事業はビニロン繊維や高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」、人工皮革「クラリーノ」などの原料販売が少なくない。このためクラベラ事業部とも連携しながら、「開発による商品やサプライチェーンの高度化を進める」とする。

 例えば、資材用途が主力のベクトランには幅広い用途に使用できる細繊度タイプもある。これをスポーツ・アウトドア衣料や用具へ提案を進める。ビニロン繊維も難燃タイプでアウトドア衣料・用具へと提案する。衣料と資材の枠を越えてクラレの独自素材の販売を繊維部門として拡大しようという戦略だ。

 海外販売の拡大も26年度の大きなテーマ。海外の内需マーケットに向けて糸・生地・縫製品の販売拡大を進める。縫製品も現在は日本市場向けが中心だが、中国子会社を通じて現地スポーツ・アウトドアアパレルとの新規取引ができ始めた。

 独自性の強い素材を強みに、糸・生地だけでなく縫製品での販売を拡大することが引き続き基本戦略となる。特にスポーツ・アウトドア分野やヘルスケア分野に力を入れる。新素材の開発を進めると同時に、ベトナム子会社でプリント工程を増強するなどサプライチェーンの拡充にも取り組む。

(おわり)