第23回JYレビュー~付加価値やこだわりを紡ぐ糸~②
2026年03月10日 (火曜日)
アパレル向け提案活発化
「ジャパン・ヤーン・フェア」では、最終製品を見据え、アパレル向けを意識した提案が目立った。企画担当者からの注目度も高く、新たな市場開拓に向けた各社の動きが活発化している。
新内外綿(大阪市中央区)は、3回目の出展となる「パイナップルヤーン」に今回から渦流紡績を取り入れ、品質を向上させた。廃棄されるパイナップル葉繊維を活用した環境配慮のストーリーが伝わりやすく、アパレルメーカーから「糸を指名される機会が増えた」という。顧客が速やかに試作を仕掛けられるように20、30、40番手を用意して拡販する。
会期に合わせて、生産子会社のナイガイテキスタイル(岐阜県海津市)の工場見学会へ顧客を案内する取り組みを継続し、アパレルメーカーの「糸への関心を高める」機会につなげている。
「生地や製品で目を引く」ブースに刷新したミマス(三重県玉城町)は、「服を選ぶ感覚」で素材を見られるよう、ハンガー掛けの生地中心の展示に切り替えてアパレルメーカーへの提案を強めた。環境配慮素材へのニーズから、ヘンプ35%・再生ポリエステル65%などヘンプ使いの混紡糸に関心が集まった。
綿麻混デニムやハイゲージ織物の生機備蓄も販売を伸ばしており、同素材を用いた製品を並べ、用途を具体化した。紙で配布していた糸リスト表を2次元バーコード化し、スマートフォンで読み取って確認できる利便性も好評だった。
独自の技術を切り口に、素材の新しい価値を見せる提案も目立つ。
東洋紡せんいと御幸毛織は、混率や素材選定など設計段階から作り込む長短複合紡績糸「マナード」を打ち出した。
同技術を用いて天然繊維と合繊の機能を両立させた「ネイチャーブリッジマナード」は、麻とポリエステルで肌離れ性を高め、シルクとナイロンでウオッシャブル性を持たせるなど、独自の組み合わせで付加価値を創出している。80番単糸の細い糸も紡績が可能で、薄く軽い生地でも物性を確保できる点を訴求する。短繊維の2層構造糸「テクノコット」や接触冷感素材もサンプル依頼が相次ぐなど、存在感を示した。
カワボウ繊維(岐阜市)は、「新しい原料への挑戦」を掲げ、梳毛紡績ながら綿素材の開発に注力する。希少な紡績機「トライスピン」の技術を生かした新作の綿混糸を披露し、リング紡績とは異なる独自の風合いを打ち出した。無撚の粗糸に特殊な研磨を施して毛羽をまとわせる独自の「プレミアム起毛」も訴求し、アパレル市場のさらなる深耕を狙う。
ニッケグループのニッケテキスタイル(愛知県一宮市)は、産学連携によるウールの快適性研究の成果を披露し、ウールが持つ機能性を改めてアピールした。革新精紡機によるサイクロンスピン製法で生み出す紡績糸「ブリーザ」は、従来のウールとポリエステルの混紡に加え、綿やレーヨンの混紡糸を開発し、用途の広がりを示した。





