第23回JYレビュー~付加価値やこだわりを紡ぐ糸~③
2026年03月11日 (水曜日)
「ジャパン・ヤーン・フェア」(JY)に出展した商社は、原料の特徴を生かしつつ、快適性や機能性を兼ね備えた糸を訴求した。差別化戦略の一環として、特徴を分かりやすくネーミングする“ブランド化”も進む。糸だけでなく生地や製品へ展開するといった“出口”を示す戦略も見られた。
蝶理は多様な機能や特徴を持つ合繊糸を中心に披露した。尾州の企業に向け、天然繊維のような特徴を持つ糸や、天然繊維との相性が良い糸の拡販を狙う。
注目を集めたのは機能性短繊維使い紡績糸「スパンラボ」シリーズだ。ふわふわとした風合いを持つ、かさ高性を付与した綿タッチの「バルキー」や、常圧可染フルダル糸「ディープテック」も紹介した。抗ピリング性や発色性に優れる。
ピン仮撚り糸「SPX」も訴求を強めた。北陸の協力工場で50年以上続く伝統的な技術を駆使して作られる。ピン仮撚りならではの高捲縮(けんしゅく)性や伸縮性を併せ持つ。
豊島は合繊使いの機能性糸や、ウールの魅力を生かしながら付加価値を高めた糸をそろえて訴求を強めた。
高吸湿発熱素材「モイスヒート」は最大で綿の5倍、レーヨンの3倍以上といった高い吸湿性を持つアクリレート繊維。温度や湿度環境に応じて吸湿と放湿を繰り返し、吸湿する際の吸着熱で発熱する。
ウールの魅力を引き出し、多彩な特性をかなえる「エンジニアードウール」も紹介した。原料の選定から紡績、織布、編み立て、生地加工といった各工程で高い技術を盛り込んだ。ウールのしなやかさ、美しさ、快適性を高められるように開発を進めた。
モリリンはさまざまな機能糸を紹介する中で、特に「キュプラ」使い紡績糸の「キュプラファミリー」が来場者から高い関心を集めた。
キュプラファミリーは3種類。キュプラ繊維「ベンベルグ」100%コンパクト糸「リーナ」はシャープな顔付きとソフト感を兼ね備える。キュプラ使いスラブ糸「キュノベル」は麻のようなナチュラルさを表現した。生地にすると自然なムラ感と清涼感が特徴となる。キュプラと「テンセル」モダール混の「セルティス」はドレープ性と肌触りの滑らかさが際立つ。
ウール、合繊、再生繊維、機能性付与型といった4種の原糸シリーズを備蓄販売する機能も紹介した。国内の繊維産地企業やアパレル向けに訴求を再強化したいとする。
肌触りの良さや難燃性といった機能糸を使い、生地や製品への提案を進めたのが丸佐(岐阜市)だ。JYに来場する生地商社や、製品を手掛ける繊維商社との協業の可能性を模索した。中国をはじめ海外企業からの関心もあったという。
岐阜県の企業らしく、美濃和紙使い糸「シフレ」を使用したインナーや服飾雑貨を展示し、見せ方にもこだわった。ソフトな風合いと和紙ならではのしなやかさを持つ。JYと併催した販売会「糸と布の市」でも製品を販売した。





