ごえんぼう

2026年03月13日 (金曜日)

 東京では梅やツバキに続いて雪柳が咲き始めた。桜の開花予想は来週の三連休あたり。そこここに春の気配を感じる▼盛りを過ぎた梅の花びらがハラハラと落ちる。その様子から梅の花が散ることを「こぼれる」とも言う。花首から丸ごと落ちるツバキの場合は、まさに「落ちる」。ちなみにツバキは、平安時代まで高貴、魔よけと崇敬されたが、武家社会では“首が落ちる”と重なり縁起が悪いとされた▼花によって“終わり”の表現が異なり、風情がある。白く小さい花弁の雪柳は「吹雪く」、あでやかなボタンは「崩れる」、茎についたまま枯れていくアジサイは「しがみつく」、朝顔は「しぼむ」、花弁が垂れて漂い落ちる菊は「舞う」と表す。古人の感性に敬服する▼桜は「散る」。一斉に満開となり散る潔さから、戦中は死を美化する象徴だった。世界で紛争が多発し、日本の防衛戦略が揺れ動く今、桜がかつての象徴に返り咲かないよう願う。