LIVING-BIZ vol.128(4)/特集 環境/シキボウ/東洋紡せんい/イワタ
2026年03月17日 (火曜日)
〈回収型の生分解素材/寝装分野でも提案検討/シキボウ〉
シキボウは、高機能繊維の開発・販売を手掛けるV&AJapan(大阪市西区)と共同企画した回収型生分解素材を寝装用途でも展開したい考えを示す。
凹凸感のある校倉(あぜくら)造りの高通気素材「アゼック」と、V&AJapanの生分解性ポリエステル「クラフトエボ・リーテ」を掛け合わせた。
クラフトエボ・リーテは、特定条件の堆肥に埋めると、水と二酸化炭素(CO2)に分解される。堆肥中の微生物が酵素を分泌し、同繊維に作用。加水分解が起こり物質が低分子化することで分解につながる。廃棄時の二酸化炭素排出量も焼却比40%削減できる。
ユニフォーム素材として打ち出しているが、寝装用途にも広げたい考えだ。
このほか、繊維廃材のアップサイクルシステム「彩生」や、廃棄綿を再利用したバイオマスプラスチックペレット「コットレジン」なども提案している。彩生は不要となった生地や繊維製品を再び糸にする。コットレジンは強度アップや成形品の薄肉化、軽量化が可能で、自動車部品や建材などさまざまな用途へ提案する。
〈独自の長短複合紡績糸/ウールと再生ポリ使用/東洋紡せんい〉
東洋紡せんいのマテリアル事業部ライフマテリアルグループ寝装チームは、ウールと再生ポリエステルフィラメントの長短複合紡績糸「マナード‐SW」使いの生地を提案する。
ポリエステルフィラメントを開繊してウールを均一にブレンドした特殊な長短複合糸。一般的なウールヤーン以上の強度と高い耐久性があり、長期間使用できる。
ポリエステルは、ペットボトルリサイクル100%でマテリアルリサイクル方式のペレットを使用した再生ポリエステルフィラメントを使用する。
ポリエステルの毛羽脱落はマイクロプラスチックによる海洋汚染につながる可能性があるが、マナード‐SWに使用するポリエステルは長繊維のため、脱落する毛羽はほぼウールのみで、環境に配慮した原料構成になっている。
50綿番手クラスの同糸を使用したスムース地を試作中。全シーズン対応で、カバーやシーツ、“側”(中わたを入れる前の半製品)へ提案する予定。主に生地売りを中心に展開する。
〈「自然との調和」へ/長く快適なモノ作り追求/イワタ〉
寝具製造卸・小売りのイワタ(京都市)は、「自然との調和を眠りから実現する」をパーパス(自社の存在意義、社会に対して果たす役割)に掲げ、自然のリズムと同調した良質の睡眠を届けるとともに、自然の限界範囲内でのモノ作りを追求する。
同社の方向性は、欧州などで環境対応のキーワードの一つとなっている「サフィシエンシー」とも一致する。サフィシエンシーは、地球の資源や環境の制約を十分認識した上で、必要最低限の資源とエネルギーを使って、コンパクトに、豊かに暮らしていく考え方だ。
その実現のため、製品の長寿命化や素材の再資源を推し進める。
同社の天然毛使いのマットレス「ラークオール」は、生産に再エネ電力を使用するほか、耐用年数経過後にふとんのように仕立て直しやパーツ交換を可能にして製品寿命を延ばす。
さらに製造工程で排出する生地の端切れを再生してタオルを開発、動物性のくず毛を堆肥工場と連携し、有機肥料として再資源化するプログラムなどを内蔵。廃棄と炭素排出を最小化するサーキュラーデザインのマットレスとして打ち出す。
「使い続けること」をテーマにした「アンブリーチ」シリーズも提案している。製品に縫い付けた二次元バーコードから、日干しや水洗いなどの取り扱い方法に容易にアクセスでき、年月が経ち、へたりを感じた場合は仕立て直しができる。
生地や中材の素材は、無漂白、無染色、蛍光増白剤不使用。有害化学物質に対する安全の証「エコテックススタンダード100」認証を取得済み。同シリーズを製造する滋賀工場(滋賀県愛荘町)は、太陽光や小推力発電の再生可能エネルギー100%の電力を採用し、「再エネ100宣言RE Action」にも参加する。
岩田有史社長は「長く快適に使えるモノを目指す」と強調。「オーセンティック&サステナブル」(本物で持続可能な)をデザインコンセプトにしたモノ作りを深耕する。





