LIVING-BIZ vol.128(8)

2026年03月17日 (火曜日)

〈東洋紡せんい/高吸湿ポリエステルわた拡販へ/国内生産体制を再構築〉

 東洋紡せんいのマテリアル事業部ライフマテリアルグループ寝装チームは、高吸湿ポリエステルわた「グレファージュ」を2027年3月期の重点素材に位置付ける。国内生産体制を再構築し、顧客が求めやすい価格帯で安定供給できる体制を整えた。

 グレファージュは、機能性材を分子レベルで繊維に化学結合させた改質わたで、綿を超える8%以上の吸湿率を持つ。

 10年ほど前に開発し、紡績での展開も図ったが、染色性や堅ろう度に課題があったため、染色が不要な中わた用途を中心に販売を模索。ただ、小規模の生産体制や高価格帯がネックとなり、十分に広がっていなかった。

 国内の協力工場を活用した生産体制を新たに構築し、課題を解消。従来の100キロ釜から、300キロ釜で製造することで月5㌧を供給する。生産効率が高まり、「顧客が求めるプライス」に近づけた。

 立体捲縮(けんしゅく)でかさ高性もあり、ふとんやウエアの中材用途へ提案する。寝具では、蒸れ感軽減を切り口に年間商材として訴求する。粒わたタイプも26年度中に打ち出す予定。シートタイプの投入も視野に入れる。

 得意とする改質技術を生かし、綿を改質して吸湿発熱機能を高めた糸「ホットナチュレネオ」や、吸湿性が高く、水分を蓄える改質レーヨン糸「リフレス」、ウールを超える吸湿性を持つ「スーパーリフレス」なども提案している。

〈羽毛/原料価格が高騰/飼育量の減少映す〉

 羽毛原料価格が高騰している。欧州や中国のグース、ダックの飼育量減少が価格押し上げ要因に挙がる。

 羽毛原料メーカーによると、基準となる中国産ホワイトダックダウン85%は、2月18日時点で1キロ当たり72ドル前後。2025年5月初旬に45ドル前後に下がっていたが、上昇傾向にある。

 円安も加わり、圧縮された状態で輸入された羽毛を再生する国内のパワーアップ加工なども含めると、羽毛の中材だけでキロ1万2千円以上となり、26秋冬向け企画を難しくしている。

 価格高騰の要因の一つが、欧州や中国の飼育量の減少。羽毛精製加工の河田フェザー(三重県明和町)によると、欧州全体の飼育量は2割程度減少している。ポーランドの25年飼育量は500万羽程度で、前年比約150万羽減。ハンガリーもグースの飼育量が大幅に減少しているという。

 25年羽毛輸入量の11・5%を占めるハンガリーでは、小規模の飼育農家が多いが、自動車産業の発展による工業化で人件費が増加。人が集まらず、高齢化も進んで休廃業も目立つ。

 さらに羽毛は食肉の副産物だが、若い世代を中心に食べる機会が減少。コスト削減のため短期間で効率的に飼育することも、味が落ちて需要が一段と減る悪循環になっている。

 ハンガリーでは長期間飼育する必要のあるグースが減る一方、飼育期間の短いダックの生産量は増加する。ハンガリーやポーランドでは飼育期間がより短いニワトリの飼育量も増えているという。

 輸入量の49・3%を占める中国でも、ダックの飼育量がここ1年で30%減少した。19年に豚コレラで飼育量が減少した養豚場増設への国の助成金もあり、豚の生産量が増加。安い豚肉が流通していることが、ダックの飼育量を押し下げる。

 飼育量の減少で、羽毛原料価格の高値圏での推移が続く可能性がある。