特集 アジアの繊維産業(3)/インドネシア/新ビジネスで攻勢かける各社

2026年03月18日 (水曜日)

 インドネシアは、ASEAN地域の中でも重要拠点の一つに数えられる。経済は5%前後の成長率を維持するなど、堅調に推移しているが、内需は勢いを欠いていると伝わる。米関税政策の影響でいき場をなくした中国品の流入によって一部市場で価格の混乱が生じているためだ。

 日本からのオーダーも減少傾向が見られ、これまで順調だった日系企業の業績にも調整局面が見られるようになってきた。従来型のビジネスだけでは拡大が難しい部分があり、日系各社は新たなビジネスでの反転攻勢を仕掛ける。

 東レのインドネシアグループは、ポリエステル・綿複合生地会社の事業構造改革と新規サプライチェーン構築で収益拡大を図る。蝶理は、日本の生地生産スペース減少もあり、インドネシアへの注目度が上がっているとし、取りこぼしなく実績につなげていく。

〈東洋紡グループ/将来見据え自販強化〉

 東洋紡グループは、自販を強化ポイントの一つに挙げている。主力である日本からのオーダーは堅調な動きを維持しているが、将来を見据えて新たなビジネスを作る。他の日系企業との連携による商材開発にも目を向けるなど、多様な角度で取り組みを深める。

 生地や製品の販売を行う東洋紡インドネシア(TID)は、繊維と自動車向けプラスチックを両輪とする。繊維は堅調に推移し、2026年度もその流れが続くとみるが、「将来を考えると自らで組み立てるビジネスも必要」とし、自販を強化する。

 自販では、染色加工の東洋紡マニュファクチャリング・インドネシア(TMI)の生地を活用した内販を行っているが、欧米向け輸出などを強化する。他の日系企業とも連携し、インドネシア国内で付加価値の高い生地を一貫生産する。

 TMI自身も現在20%程度の自販比率を40%に高める。縫製のシンコウ・トウヨウボウ・ガーメント(STG)は展開商品を増やす。

〈日清紡テキスタイル/高付加価値品にシフト〉

 日清紡テキスタイルは、高付加価値品へのシフトで成長を図っている。紡績・織布のニカワテキスタイルによる高付加価値糸の生産は約40%だが、2026年度(26年12月期)は60%に高める。そのため渦流紡績機「ボルテックス」を2台増強する。

 ニカワテキスタイルのボルテックスは4台体制となる。今年度下半期に導入・稼働を予定し、インドネシア国内や欧米、中東などの市場を攻める。収益の貢献は第3四半期もしくは第4四半期になる見通しだ。

 同拠点ではストレッチ性や高通気性が特徴の「エアリーウェーブ」がワークウエア用途で好調に推移しており、230㌢幅の織機を8台増設する計画も立てている。ニカワテキスタイルは今年度の黒字浮上を計画する。

 染色加工の日清紡インドネシアは、昨年に連続染色機を1台増設し、柔軟な対応を可能にした。今年2月に稼働を開始したが、順調に立ち上がったとしており、前年に続いて増益を目指す。

〈TTI/成長の原動力に輸出〉

 東海染工のインドネシア法人、トーカイ・テクスプリント・インドネシア(TTI)は、米国や東南アジア市場向けの販売を拡大する。インドネシア国内の需要が勢いを欠く中、新たな市場に成長の原動力を求める。2025年中ごろから力を入れており、成果も出てきた。

 織物の無地染めとプリントを主力とし、インドネシア国内向けの販売をメインとする。24年度(24年12月期)は好業績を収め、25年度も上半期は順調に推移した。ただ、下半期に入ってから状況が変わり、年間では売上高と利益とも24年度の数字に届かなかった。

 苦戦は現地生地問屋の在庫調整などが影響したが、「国内販売の落ち込みはある程度予想ができていた」とし、年中盤から輸出の強化に力を入れた。24年度に20~25%だった輸出比率は、25年度後半には30%にまで向上するなど、順調な動きを見せている。

 輸出は米国市場と東南アジアに重点を置く。米国は西海岸の生地問屋やハワイ向けが軸となる。「相互関税の影響で中国製からシフトする動きがあった。先行きは不透明だが、(シフトした)顧客をしっかりつかむ」とした。東南アジアはマレーシアに可能性を求める。

 26年度は、24年度並みの業績に回復させたいとし、輸出比率も40%に高める。これまではインドネシア国内の展示会を通じて顧客開拓を図ってきたが、他の国の展示会への出展も検討する。輸出に加えて、インドネシア国内アパレルとのビジネスも強化する。

〈シキボウグループ/ローカル販売拡大の見通し〉

 シキボウのインドネシア法人であるメルテックスは、紡績・織布・加工を手掛けている。2025年度は、中東向けが在庫調整などの影響を受けるが、ユニフォームに若干ながら上昇傾向が見られ、資材向けは安定的に受注を確保する。全体では、前年比増益基調で推移している。

 ユニフォームは、別注品もあり、数量・売り上げ・利益のいずれもが増加し、資材向けも微増となっている。中東市場向けは数量・売り上げ・利益ともに減少する見通し。

 部門別では、紡績部門は、数量は微減ながら、値上げの効果もあって増収増益の基調。ただし、ローカル・他国との価格差があり苦戦気味という。織布部門は中東向けの減少に伴い、数量と売り上げが共に厳しい。加工部門は、中東向けで一服感はあったが、スクール向けは堅調に推移する。

 26年度は、地政学リスクから中東向け商品の動向が懸念されている。一方、ローカル向け販売は拡大の見通し。資材関係が好調に推移すると予想するほか、SHIKIBO MERMAID INDONESIAの設立効果などに期待する。