ごえんぼう

2026年03月19日 (木曜日)

 31年前、都内で地下鉄サリン事件が起こった。筆者は朝から仕事に従事していたが、物々しい異様な雰囲気で仕事が手に付かなかった▼勤務先は東京メトロ・小伝馬町駅に近く、警察車両や救急車が何十台にも連なり、ただ事ではないことは容易に想像できた。会社からは「昼も外に出るな。状況が分かるまで社内で待機」と強く言われた▼猛毒のサリンがまかれた3路線・33駅で重篤な被害者が出ていた。駅別では、小伝馬町駅が最多の1663人。テレビを見ると、うめき声を上げる通勤客や嘔吐する意識朦朧(もうろう)の女性もいて、得体が知れず、とても恐ろしかった▼私事だが、事件当日は筆者の誕生日でもある。以来、当日の追想は地下鉄サリン事件に取って代わった。毎年3月20日は小伝馬町駅に向かって手を合わせている。改めて被害者にインタビューをしたノンフィクションを読むと怒りにも似た喪失感が込み上げる。