マレーシア東レグループ “ハイブリッド”へ転換

2026年03月19日 (木曜日)

 ポリエステル短繊維製造のペンファイバー(PFR)、ポリエステル・綿混紡織加工のペンファブリック(PAB)などで構成するマレーシア東レグループは、素材・機能を高度に複合した“ハイブリッドスパン”素材への転換を進める。新規顧客開拓にも力を入れ、特にインド市場への差別化紡績原綿の提案を推進する。

 PFRの2025年度(26年3月期)業績は、中国からの安価品の流入などでポリエステル短繊維の市場価格が軟調に推移したことが収益の下押し材料となった。ただ、利益率を重視した販売品種構成の見直しや細繊度わたを中心とした価格改定を進めたことで、現在はほぼ計画並みの採算まで回復した。

 26年度も引き続き価格改定を進めると同時に、サステイナビリティー商材の拡充、品種高度化、東レグループのサプライチェーンを活用した差別化原綿の拡販に力を入れる。新規顧客としてインド市場の衣料用紡績糸向けへの提案を開始し、現地企業に向けて差別化原綿に絞った提案を進める。マイクロファイバー原綿という強みを生かし、市場開拓に取り組む。

 PABの25年度業績は、米国の関税政策の影響で米国の需要家が様子見の姿勢を強めたことで販売数量が伸び悩んだ。一方、工場設備の統廃合など合理化による体質強化は進んだ。東レの特殊原糸・原綿を活用した開発品を欧米の既存顧客やインド、日本の新規顧客に提案することで高付加価値品の拡販に一定の成果が出ている。

 同社では定番のポリエステル・綿混織物では立ち行かないことが明白であるとして、素材・機能を高度に複合した“ハイブリッドスパン”素材への転換を推進する。25年度は超フルダル素材「ギガダル」や高通気素材「ドットエア」を中心とした機能素材群の拡販を進め、一部で採用・出荷実績が上がり始めた。26年度もこうした成果を本格的に刈り取ることで収益向上を目指す。

 また、ナイロン混生地や4ウエーストレッチ生地など高付加価値品を安定生産するための設備改造も順次進める。現地の長繊維染工場ともタイアップすることで素材バリエーションを拡大する試みも開始している。

 ここに来て取引先アパレルメーカーの間で生地から縫製までをASEAN域内で完結する“地産地消”ニーズが一段と高まっている。このため内需と生地供給、縫製拠点をともに持つことをサプライヤー選定の条件とする取引先が増え、中でもインドネシアが有力視される。

 PABは既にインドネシアのセンチュリー・テキスタイル・インダストリー(CENTEX)やイースタンテックス(ETX)と生機や染色加工工程を相互利用するなどASEAN域内の東レグループ各社と連携したサプライチェーンを構築し、25年度下半期から量産と出荷が始まるなど成果が上がる。今後もPABの開発・提案力を生かし、インドネシアだけでなくベトナムなどASEAN各国で協業企業を増やすことで市場開拓を進める。