特集 インナー・レッグウエア/厳しい状況下で次への施策/アツギ/ナイガイ/ワコール/グンゼ/福助

2026年03月19日 (木曜日)

 インナー・レッグウエアの市場は勢いを欠いた状態が続く。猛暑化・長期化する夏、短い秋・冬・春という気候変動による影響に加え、物価高で実用衣料への出費が後回しになっている。ただ、厳しい市場環境下でもヒット商品は生まれており、各社は前向きな姿勢を崩していない。それぞれが次に向けた施策を打つ。

〈アツギ/開発本部製品開発部部長 今島 智彦 氏/支持される会社へ成長〉

 レッグウエア市場は、季節商品を中心に気候変動の影響を大きく受けています。当社の25秋冬の展開も初納が1カ月ほど後ろ倒しになるなど大きく左右されました。一方で、毎年の傾向なのですが、25秋冬も厚手のタイツは順調で、320デニールの商品などが人気でした。

 2026年度(27年3月期)は、高付加価値化がポイントになります。ストッキングの課題である破れに対応する「スゴスト」は新商品を投入し、医療・美容ヘルスケアブランド「アツギメディカル」も発売します。カラフルなタイツやソックスがそろう「アツギカラーズ」を全国展開します。

 韓国の大手インナーウエアメーカーであるヴィヴィアンコーポレーションとの取り組みも深めています。昨年に同国のヘルスケア&ビューティー専門店で当社製品の販売が始まり、今年2月から人気インナーウエアブランド「ナナフィット」の日本での独占販売を開始しています。

 レッグ・インナーウエア市場は厳しさが続くと予想しています。ユーザー目線での商品開発を強化し、支持される会社への成長を目指します。

〈ナイガイ/執行役員商品部担当兼商品部GM 小山 雄大 氏/気候に左右されない商品を〉

 靴下業界は、冬物の単価が高く、(冬物の)比重が大きいのが一般的でした。近年の気候変動によって夏が長期化し、秋冬シーズンが短くなり、冬への期待が小さくなっています。夏場に商品が動くわけでもなく、季節に左右されないアイテムの開発が求められます。

 そうした状況下でも当社の2025年度(26年1月期)は、電子商取引(EC)での販売や量販店・専門店チェーンは好調に推移しました。ECでは、登山やトレイルラン向けの「ナイガイトレイル」が人気を得ています。一方で主力の百貨店向けは盛り上がりを欠きました。

 26年度は、先ほどお話しした通り、気候変動の影響を受けにくい、ウェルビーイングや足の健康に焦点を当てた商品の開発・提案を強化していきます。「整(トトノ)ヒーリングウェア」がその一つですし、新たに「おうちメンテ」ブランドも立ち上げます。

 キャラクター商品も引き続き順調に動くとみています。「ドラえもん」や「ポケモン」などに加え、当社のオリジナルキャラクターである「はまぐりちゃん」を前面に打ち出したイベントも企画しています。

〈ワコール/マーケティング本部戦略部部長 山田 隆登 氏/強み生かして顧客獲得〉

 近年は下着への支出の優先度が落ちていると感じています。特に中間価格帯商品の存在感が低下しているのですが、手頃な価格の商品と高付加価値品は販売が伸びています。価格の二極化が鮮明になっており、このまま何もしなければ二極化はさらに加速すると思っています。

 難しい事業環境下ですが、当社は電子商取引(EC)の成長が継続しています。2025年度(26年3月期)は、第3四半期までの実績ですが、ECは前年同期比9%増、構成比も23%(前年同期22%)に高まっています。実店舗は売り場縮小などの影響を受けています。

 26年度は、ワコールの価値をお客さまにより深く浸透させたいと考えています。「ワコール」は、ボディーデータを活用した商品・サービスの提供を強化します。ウイングは「シンクロブラトップ」などを軸にお客さまに寄り添った展開を行います。

 高い評価を得ている「ゴコチ」は、他社とのコラボレーションを含めて新規顧客の獲得を図ります。

〈グンゼ/アパレルカンパニー営業MD本部商品企画部マーケティンググループグループ長 武安 秀俊 氏/顧客の悩み解決を視点に〉

 下着・肌着市場は、厳しい環境にあります。気候変動による二季化で秋冬物の販売時期が縮小し、加えて物価高によって下着・肌着への支出が減っていると感じます。長期的に見ても少子高齢化で市場拡大は見込めず、従来と同じやり方では成長は難しいでしょう。

 当社の販売も地合いは良くありません。量販のウエートが高く、売り場縮小の影響も小さくありません。紳士を中心にヒット商品が生まれにくいカテゴリーではありますが、汗に関する悩みの改善に特化した「アセドロン」は、累計出荷枚数が300万枚を突破しました。

 下着・肌着の市場はレッドオーシャンと言えますが、消費者が求めているモノをグンゼが持つ技術で解決できたことがヒットにつながったと考えています。今後も「顧客の悩みからスタート」する視点を変えずにモノ作りを行っていきます。

〈福助/取締役商品本部本部長 早川 慎一 氏/3カテゴリーで成長目指す〉

 レッグ・インナーウエアの市場は、“三角”というような状況ですが、百貨店販売は厳しいと言えます。秋冬向け商品の方が単価は高いのですが、夏の長期化や暖冬で販売期間が短くなっていますので、タイツなどの販売には逆風になっています。

 当社の2025年度(26年3月期)は、インナーが前年を上回る見通しですが、足回りは伸び悩んでいます。特にストッキングは厳しいのですが、新商品で攻勢をかけていきたいと考えています。そのほか26年度は秋冬対策の新商品も打ち出します。

 ストッキング関連の新商品が紫外線対策ブランド「まとう、UVヴェール」です。東レの「クリアベール」をレッグ・インナーウエア業界で初めて採用し、極薄生地でUV遮蔽(しゃへい)率90%以上を実現しました。

 来年度はインナーと靴下、ストッキングの3カテゴリーで25年度超えを目指します。