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ボーケン品質評価機構/機能性事業本部/製品までの一貫評価体制

2026年03月24日 (火曜日)

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は中期経営計画に掲げる「機能性評価の強化と領域拡大の加速」に向けて、体制拡充が進む。2025年9月にはユニチカからの事業譲渡によって、ボーケンガーメンテック(旧ユニチカガーメンテック)がグループに加わった。加工剤から製品までの一貫評価体制の確立により、さらに機能性表示サポートや非アパレルを含めた評価領域の拡大に取り組む。

〈BGT連携で“見える化”〉

 ボーケンの機能性事業本部は、中期経営計画で「加工剤から材料、製品へと一貫機能性評価機関」「機能性能の品質と表示のプロフェッショナル」「日用消費品にも対応する機能性評価機関」へと進化することを三つの柱と位置付けている。その一環として、25年9月にボーケンガーメンテック(BGT)を傘下に加えた。

 BGTは、サーマルマネキンや環境可変室などの設備を持ち、製品を対象とした試験や人体生理測定のノウハウが豊富。これまでボーケンとは業務提携による協力関係にあったが、このほどグループに加わったことで生地試験はボーケン、製品や人体生理に関する試験はBGTが担う体制となり、加工剤から生地、製品までの一貫評価体制を構築した。

 既にサーマルマネキンや可変環境室、サーモグラフィーによる評価試験の受注が拡大。これを生かし、製品性能の“見える化”や、日本産業規格(JIS)の遮熱試験など社会的ニーズの高い試験を海外拠点も含めて拡大する。また、新たな取り組みとして電動ファン付きウエアの基本性能や安全性に関する試験開発を進める。風量や消費電力の測定、サーマルマネキンによるクーリング性能評価、サーモグラフィーによる温度変化の“見える化”が可能だ。

〈「品質」と「表示」支える〉

 近年、機能性製品の拡大によって健康訴求商品や熱中症対策商品を中心に性能と合わせて「表示」の重要性が高まった。こうしたニーズに対して専門家による表示確認や必要な試験方法を提案するサービスを開始した。

 下げ札やウェブ上での表現などについて家表法、景表法、薬機法などの観点から法務リスクを整理し、改善案や試験データとの整合確認を行う。リカバリーウエアなど性能の訴求力が大きい一方で、表示リスクが伴う製品に対して「性能を正しく伝える」ため第三者試験機関としての役割を果たす。

〈評価領域を拡大〉

 業界団体を通じた活動などによって評価領域の拡大にも取り組んでいる。例えば、25年度には一般社団法人日本ヒートアイランド対策協議会に特別会員として参加した。

 同協議会は、都市の暑熱低減技術を評価・普及させることを目的とした非営利団体であり、優れた暑熱対策技術を公平・客観的に評価する暑さ対策商品登録制度「ひんやりっとマーク」を運営している。ボーケンは試験方法の開発・提案、データ取集を担う予定だ。また、遮熱性試験機の増設なども進めており、労働安全衛生法に基づく熱中症対策の企業義務化といった社会的要請に対応できる体制を整備する。断熱性や熱緩衝性に関する新たな評価方法も検討しており、26年度内での受託を予定する。

 “ポスト・コロナ時代”の衛生関連ニーズへの対応も強めた。カビ、ダニ、臭気などを対象とした衛生加工に対して従来の加工品・未加工品比較評価だけでなく、環境条件を変更したカスタマイズ試験や実使用を想定した評価方法の導入を進める。さらに建材や液体製品など、繊維製品以外の試験対応拡大にも取り組む。

〈ウェルビーイング評価に強み/ボーケンガーメンテック〉

 2025年9月からボーケングループに加わったボーケンガーメンテック(BGT)。前身のユニチカガーメンテック時代から第三者試験機関として標準化された試験に加えて、製品試験やニッチな高機能試験に強みを持つ。ボーケングループに加わったことで、特にウェルビーイング評価(人体生理測定)を打ち出し、機能の“見える化”を追求する。

 BGTは、JNLA登録試験事業者(ISO/IEC17025)や繊維評価技術協議会の「SEKマーク」認証の指定検査機関となるなど、標準化された試験を実施する第三者試験機関としても評価を得てきた。

 加えて製品評価に強みがあり、サーマルマネキン、着用試験、人体生理測定、実環境に合わせた環境条件での試験などに強みを持つ。サーマルマネキンのほか、発汗シミュレーター、ハイスピードカメラなどを用いた高機能試験にも対応する。最近では肌離れ性試験や湿潤摩擦抵抗力試験、接触水分移行性試験などが注目されており、特に肌離れ性試験はBGTが独自に評価方法を開発した。

 サーマルマネキンは、熱移動を測定するタイプのほか、水分移動を加味した発汗タイプ、動作時の空気移動(換気効果)を評価できる歩行タイプの3台を保有する。人工気象室やサーモグラフィーと組み合わせた試験が可能だ。

〈血行促進効果も評価〉

 こうした設備を生かし、製品そのものだけでなく人が実際に製品を使用した際の人体生理測定に力を入れる。血行促進、睡眠、運動負荷、重心、姿勢などを血流、脳波、筋電図、呼吸代謝分析、三次元動作解析などの計測を通じて評価する。最近では、家庭用遠赤外線血行促進衣(リカバリーウエアなど)に対する自主基準の性能に対する要求項目(血行改善に関する性能)に基づく血流量測定の依頼が増加した。こうした専門的な試験の結果や計測データも画像や動画などビジュアルで分かりやすく伝える“見える化”もBGTの強みだろう。

 既存の試験方法が存在しない場合、ニーズに合わせた評価方法を提案する「なければ作る」取り組みも進める。例えば歩行動作解析では20メートルの歩行路を新設した。また、保有していない設備が必要な場合は「なくても借りる」として、外部機関の施設での出張測定で対応する。そして「なければ持ち込む」として、倉庫や工場、屋外などにサーマルマネキンなど試験設備を持ち込んでの測定も実施できる。

 こうした強みを生かし、26年度は「機能性能の見える化」の追求と「ウェルビーイングの評価」に力を入れる。機能性能の“見える化”は、特に暑さ・寒さ対策製品の評価でサーモグラフィーの活用などに取り組む。

 近年、暑さ対策や睡眠改善、血行促進などをうたう製品が増加しており、製品の機能だけでなく製品使用時の使用感や効果の評価へとニーズが変わってきた。製品の機能性能を理解した上で、どのような効果が発現するのか、その効果がヒトにどのような影響を与えるのかを実際に使用することで評価できる試験方法と技術力が求められている。

 BGTは、ヒトを計測するためにさまざまな用途や形状の製品に対しての評価ができ、対応可能なアイテムの範囲も広い。こうした強みと広がりをさらに強化する。そのために設備投資と人的資本投資を強化する。