特集メディカル・介護ウエア(3)/探訪 ユニフォーム刷新の現場から/人に寄り添う看護を重視/医療法人静和会 浅井病院

2026年03月25日 (水曜日)

 千葉県東金市の医療法人静和会浅井病院は、精神科を中心とした地域の中核病院である。同院看護部では、5年ごとのリニューアルサイクルに伴い、今年2月にユニフォームを新調した。従来とは異なるカラーリングと機能性を備えた新ウエアの導入背景と効果を聞いた。

〈地域社会への貢献〉

 初代院長である浅井利勇氏が1946年に東金市で診療所として開院したのが浅井病院の始まりとなる。当時から精神科医療を主体としつつ、地域に根差した包括的なケアの提供を目指してきた。これは国が推進している地域包括ケアシステムの理念をいち早く具現化したものであり、現在も「精神科医療」「高齢者医療」「予防医療」の3本柱で地域社会に貢献し続ける。

 現在、同院の看護部門を支える看護師は172人、ケアスタッフ81人の計253人。このうち女性が7割ほどを占める。近年は男性看護師の割合が増加傾向にあり、精神科救急病棟などにおいて中心的な役割を果たす。

 看護理念には「人となりを知るための繋がる看護」を掲げている。精神疾患を抱える患者は、病状の悪化時に本来の自分を見失いがちである。そのため、表面的な症状だけを捉えるのではなく、患者の生い立ちや趣味、仕事といった「人となり」を深く理解し、本来のその人に寄り添うケアを重視している。この理念は患者に対してのみならず、スタッフ同士や地域とのつながりにおいても大切にされている。

〈制服更新の意義〉

 同院看護部では、ユニフォームを5年ごとにリニューアルする慣例がある。製品の耐久面だけではなく、看護師のモチベーションアップのきっかけになればという思いもある。今回のリニューアルに際しては、2025年春に準備をスタート。過去の導入実績もあるユニフォームメーカーの明石スクールユニフォームカンパニーに依頼し、複数のサンプル提示を受けた。

 検討プロセスにおいては、齋藤直美看護部長を代表とし、現場の看護師長10人、ケアスタッフリーダー4人が中心となった。現場の声を広く取り入れるべくさまざまな意見を交わし、各師長がそれらを反映した製品を選定。最終判断は齋藤部長が行った。

 新ユニフォームに対して重視した点は、機能面での実用性と着心地の良さ、そしてイメージの刷新である。過酷な業務を支えるため、ストレッチ性と通気性を兼ね備えた素材や、ウエストをゴム仕様にしたパンツなど、疲労を軽減する機能が求めた。また、精神科特有の業務として鍵の常時携帯が必須であるため、「鍵を取り付けられる頑丈なループや、使い勝手の良いポケットの配置も重要なポイントとなった」と齋藤部長は話す。

 夏ごろにはデザインが確定し、スタッフ全員の採寸を開始。リニューアルプロジェクトを円滑に進めるため、採寸期間を1カ月間に設定して集中的に行ったと言う。

〈イメージ刷新の効果〉

 数カ月の準備期間を経て、26年2月から新たなユニフォームでの勤務が一斉にスタートした。新たに導入されたアイテムは、スクラブとパンツの上下セット。一人当たり上下5着ずつ支給され、男女で若干シルエットが異なる仕様となっている。

 最大の特徴は、着脱が容易な前開きファスナー(ジップ式)を採用し、首元が詰まらない設計にした点だ。また、カラーリングは日勤用をネービー、夜勤用をベージュとした。齋藤部長は「今まで使ったことがない色だったため全体が締まって良いと思った。実際に病棟でスタッフが着ているとすごく映える」と満足気だ。ユニフォームのリニューアルプロジェクトを担ったのは今回が2回目。「5年前の前回は初めてだったことや新型コロナウイルス禍中だったこともあり余裕がなかったが、今回はゆとりをもってしっかりと取り組むことができた」と振り返る。

 デザインのアクセントとして、役職者には左胸部分に同院ゆかりのはんてん木の葉をあしらったピラミッド型の意匠を刺しゅうしている。部長がピンク、師長はシルバーと、視覚的に役割が認識しやすい工夫を施した。

 勤続4年目の丸惣右摩看護師は「生地が軽くてストレッチが効いていてしゃがむ際にも突っ張り感がない。動きやすさが格段に上がり業務がとても快適になった」と着用の感想を語る。

 デザイン性の高いスクラブは、他部署を含めた院内全体の雰囲気を活性化させるインナーブランディングの効果も持つ。同院内で働く他部署からは早速、「今回のユニフォームはすごく良いよ」との声が届いているという。