特集メディカル・介護ウエア(5)/探訪 ユニフォーム刷新の現場から/社会福祉法人幸輝会特別養護老人ホーム幸輝園/地域と共に歩む

2026年03月25日 (水曜日)

 社会福祉法人の幸輝会が運営する特別養護老人ホームの「幸輝園」(岡山市)では、トンボの介護ユニフォーム「キラク」が長年愛用されてきた。その理由は、高い耐洗濯性にある。従業員の要望に合わせてユニフォームは刷新・追加され、従業員満足度の向上にも一役買っている。

〈口コミで利用者拡大〉

 幸輝会は、1972年に現在の乙多見事業所を発祥の地として設立された。54年にわたり地域に根差したサービスを提供し、岡山市内の特別養護老人ホームの中では3番目に古い歴史を持つ。

 國富隆夫理事長によると、「口コミで広がり何世代にもわたって利用する家族もある」という。現在は、岡山市内に2拠点、美作市内に2拠点、津山市内に1拠点を構えるまでに拡大した。4月からは、6拠点目となる養護老人ホーム「ときわ園」の運営も始める。

 法人本部を置く国府市場事業所の特別養護老人ホーム「幸輝園」は、豊かな自然と暮らしやすい施設環境に恵まれた立地で、心身ともに充実した生活を送ることができる。利用者の個性を大切にした個別ケアを心掛け、その人らしい生活の実現を支援する。

 初詣や節分、ひな祭りといった季節ごとの行事やイベントを実施し、生活の中にハリや刺激を持って暮らせる環境の整備を進める。

 施設の特色となるのが、地域に根差した活動だ。地域の子供やお年寄りが参加する夏祭りの開催や中学生の介護ボランティア受け入れも実施している。家庭裁判所と連携した行動委託事業として少年の更生のための介護体験も提供する。

 利用者とその家族、地域の人だけにとどまらず、従業員にとってもより良い環境を提供する。その一つが、さまざまな研修機会の提供だ。

 定期的な施設内での研修に加え、他府県で開かれる施設外での研修にも積極的に職員を派遣している。「ルーティンワークになりがちな業務に変化を与えることで、職員のモチベーションを引き出す」(國富理事長)狙いがあるという。

〈耐久性の高さが必須〉

 職員が着用するユニフォームには、25年にわたってトンボのヘルスケア本部が展開する基幹ブランド「キラク」が採用されている。その理由は、「耐久性の高さ」。キラクは、“業界で初めて”工業洗濯に対応した丸編みニットを展開している。

 特別養護老人ホームでは、洗濯も介護保険の「施設サービス」に含まれる。そのため、幸輝園には、クリーニング店のように大きな洗濯機と工業用乾燥機が設けられて、絶えず稼働している。介護職員は、夏季には一日に何回もシャツを着替え洗濯することもあるといい、耐洗濯性が重要な要素となっている。

 トンボのヘルスケア本部商品部商品開発課の樋口久美子デザイナーは、「工業洗濯対応の丸編みニットが開発できたからブランドを立ち上げたと言っても過言ではない」と語る。

 丸編みの組織特性によって高い伸縮性を持ちながら、洗濯による縮みが抑えられる画期的な素材は、通気性が高く、着心地の良さも兼ね備える。

 表側は堅ろう性が高いポリエステルとなっているため、色落ちしにくいという機能も持つ。

 機能訓練指導員の加藤翔さんは、「8年近く前の入所時に支給されたポロシャツを今でも現役で着用している」と耐久性の高さを評価する。「一般衣料のポロシャツの場合は襟からダメになるが、いまだに奇麗なままだ」と続ける。

〈職員の満足度向上へ〉

 職員には、職種や業務に合わせて10数点のユニフォームが貸与される。ニットシャツや長袖ポロシャツ、ストレートパンツ、トレーナー、入浴介護用セットアップなど職員の要望に合わせて刷新や追加が実施されてきた。

 20年近く幸輝園で勤める三島芳江介護長は、着用しているポケット付きトレーナーについて、「柔軟性があって、着やすく動きやすい」と着用感について語る。加えて、「最も大切なのが、柔らかい素材のため介護される側を傷付けない」ことだという。介護職の職業柄持ち物が多いため、「前ポケットがとても役に立っている」と付け加えた。

 年に一度職員アンケートで欲しいユニフォームの聞き取りが実施される。その際に要望があった夏用パンツも追加導入された。施設内の空調は、利用者の体感に合わせて温度が設定される。そのため、業務上運動量の多い介護職員にとっては暑く、冬でも半袖を着用していることも少なくない。夏用パンツの導入によって職員の満足度も向上した。

 幸輝園は、地域に開かれ、地域と共に歩んでいる。國富理事長は、職員の要望に応えてユニフォームを充実させる目的について「職員の満足度は、利用者の満足度につながる」ためだと話す。「当園にとって大切なことを変えないために“変わり続ける”ことが大切」と語る。