不織布 生産と輸入が逆転

2026年03月26日 (木曜日)

 不織布の生産量と輸入量がついに逆転した。経済産業省・生産動態統計によると、2025年の不織布生産量は前年比4・9%減の25万6991㌧。一方、財務省・通関統計によれば不織布輸入量は3・9%増の26万1513㌧となった。その差はまだわずかだが、生産と輸入の逆転の始まりはいつか見た光景。不織布も衣料用繊維と同じ道をたどり始めるかもしれない。

 日本の不織布生産量は8年連続で前年実績を割り込んだ。用途別では規模が小さく、大勢に影響がない衣料用(10・2%増)と農業園芸用(29・8%増)は2桁%の伸びとなったが、量的に大きい生活関連(7・2%減)、医療・衛材(7・5%減)が落ち込んだ。生活関連は8年連続、医療・衛材は5年連続の減産。生活関連、医療・衛材に次ぐ大型用途の車両用は2・4%増と増産に転じた。

 不織布生産量はピークの17年以降、前年割れが続く。この8年間で約8万6千㌧も減少した。最大の要因は医療・衛材の減少だ。25年には6万1995㌧と17年比37%減、3万6千㌧強も落ち込んだ。紙おむつなど衛生材料の国内生産の落ち込みが背景にあり、ポリプロピレンスパンボンド不織布(SB)の生産減につながった。その中で三井化学と旭化成の国産ポリプロピレンSB大手2社は合弁会社、エム・エーライフマテリアルズ(東京都中央区)を23年10月に設立し、構造改革に着手する。

 生活関連は25年が6万7403㌧と17年比23%減。8年間で1万9千㌧強減った。これは主にスパンレース不織布(SL)の落ち込みと推測される。中国からの輸入急増など海外生産品との競合激化が背景だ。SLが多いとみられるレーヨン短繊維不織布輸入量は25年、前年比5・8%増の6万8122㌧。05年(6570㌧)に比べると10倍以上になった。

 その中でクラレ、日清紡テキスタイルがSL生産から撤退。さらにフタムラ化学(名古屋市中区)が3月末で、SLと用途が類似する世界唯一の湿式短繊維スパンボンド法セルロース不織布「TCF」の生産を休止する。

 医療・衛材、生活関連だけで17年に比べて5万6千㌧強も生産量が減った。これは減産全体の65%を占める。つまり、不織布生産量の減少は大手合繊メーカーなどが主力とする大量生産型のSBやSLの縮小・撤退によるところが大きい。

 その面で人手不足や設備更新など課題はあるものの、日本の不織布産業における中小企業の存在感が増しているともいえる。