インタビュー MFU 理事長 八木原 保 氏/夢と勇気、元気、希望を日本中に/ファッション業界と共に
2026年03月26日 (木曜日)
日本メンズファッション協会(MFU)は、「ベストドレッサー賞」などを企画し、日本中に夢と勇気、元気、希望を届けてきた。ファッション業界と共に歩みを続け、セミナーなどを行うファッションマーケティング研究会は次回で100回目を迎える。八木原保理事長にMFUの現在や今後を聞いた。
――日本のファッション産業はどのように映りますか。
二つの大きな変化に影響を受けています。一つが気候変動による“二季”化です。アパレル企業も店頭もこの1、2年は混乱が続いているように感じます。昨年は10月から寒くなり、コートが売れたという話も聞きましたが、秋と春が短くなっているのは確かでしょう。
もう一つは買い方と売り方の変化です。最近の話とは言えませんが、以前にも増して電子商取引(EC)やテレビショッピングの台頭が目立ちます。こうした変化にきちんと対応していくことが不可欠になっています。従来と同じやり方では立ち行かなくなります。
価格の二極化も加速しています。これまでは機能性が重視されていた面があったのですが、ここに来てウールやカシミヤなどの“良い”素材への注目度も上がっています。高級素材を扱う企業には歓迎できる流れなのではないでしょうか。
――インバウンド需要の影響は。
訪日外国人旅行者数は、2024年に3680万人に達し、25年は4200万人を突破しました。都心の百貨店などを中心に追い風となっています。ただ、日中関係の悪化によって中国からの団体客が減っているのは心配です。また、モノではなく、コトの消費に移っており、今後は衣料品がインバウンド需要の恩恵を受けるのは難しいかもしれません。
――そのような環境下でMFUはどのような役割を果たしていくのでしょうか。
「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」「ベストドレッサー賞」「ベストデビュタント賞」などを企画し、セミナーも開催しています。明るいニュースが少なくなる中、「ファッション業界の底上げを図りたい」「ファッション業界を活性化したい」という思いで実施しています。
各賞はもちろんですが、このようなイベントを開催できるMFU自体への注目度も高いと言えます。協会の名称に「メンズファッション」という言葉は残っていますが、ライフスタイル全般で取り組んでいます。飲食や不動産関連など、他産業・他業界の企業の協力は増えています。
他産業・他業界とのつながりは、理事長に就任した二十数年前からでしょうか。当時のメンズ業界は元気がなく、変化が必要でした。会員企業は衣料品関連でも、パートナーは他産業・他業界の企業でも問題はないと思いました。それがメンズ業界の変化や活性化になるからです。
――MFUが開いているファッションマーケティング研究会は次回で100回目になります。
最近のファッションマーケティング研究会では、吉野家ホールディングスの河村泰貴会長の話が印象に残っています。忙しい方なのですが、セミナーの後に行われた懇親会にも出席し、最後まで残ってくれました。MFU会員企業の皆さんとの意見交換も活発に行われました。
セミナーではこれまでさまざまな旬の人を講師に招きました。スターバックスコーヒージャパンの水口貴文代表取締役最高経営責任者(当時)など、通常では講師を受けない人も演壇に立っています。幅広い分野で活動を行っているMFUならではだと思います。
――26年は、ベストドレッサー賞が第55回、ベスト・ファーザー イエローリボン賞が第45回の節目です。意気込みは。
新型コロナウイルス禍で開催が危ぶまれた時もありましたが、途切れずに実施できたことの成果だと思います。節目ではありますが、終わりではありません。これが新しいスタートと考え、これからも継続開催できるよう、一丸となって取り組んでいきます。
「グッドエイジャー賞」「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」も実施し、ベストデビュタント賞では将来が期待されるクリエーターを表彰しています。先日の第22回ベストデビュタント賞では、デザイナーの木村由佳さん、クリエーター・アーティストのとうあさんらが受賞しました。
――これからのMFUは。
継続すること。その重要性は企業も業界団体も同じです。ただし、続いているだけでなく、MFUには勢いや発信力、魅力が求められています。勢いと発信力、魅力があるからこそ会員数も増えるのだと思います。みんなが「夢と勇気と元気と希望」を持てる事業を進めていきます。
社会貢献も重要な役割です。青いバラに見立てたピンバッジを販売し、収益金の全額をあしなが育英会に寄付する「ブルーローズキャンペーン」を行っています。
【略歴】
やぎはら・たもつ ジム代表取締役会長兼社長。MFU理事長のほか、日本アパレル・ファッション産業協会理事、西印度諸島海島綿協会理事長などを務める。2011年黄綬褒章、20年旭日双光章受章





