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東レ 繊維は衣料一貫型で成長

2026年03月27日 (金曜日)

 東レは、2028年度(29年3月期)に売上収益3兆円、事業利益2300億円を目指す中期経営課題を策定し、26年度から実行に入る。繊維は会社全体を支える事業に位置付け、最終年度に売上収益1兆1800億円、事業利益820億円を計画する。衣料用一貫型事業を軸に成長を図ると同時に、収益改善が必要な事業の構造改革を完遂する。

 同社は、50年に目指す姿を示す従来のビジョンを「TORAY VISION2050」に改定し、35年に向けた中期経営方針を策定した。大矢光雄社長は、新中経「IGNITION2028」を「35年と50年を見据え、次の成長へ踏み出す3年間」とし、投資の刈り取り加速や構造改革完遂の「質と確度を高める」と強調した。

 数値目標は、投下資本利益率(ROIC)約7%(25年度見通し約5%)、自己資本利益率(ROE)約8%(約5%)に設定。これを前提に売上収益で05年度比15・4%増、事業利益で53・3%増を計画する。株主還元では累進配当に取り組み、28年度に株主資本配当率(DOE)3%以上を目指す。

 事業利益については、イノベーション創出・戦略的プライシングによる質の高い拡大に取り組み、戦略的プライシングで270億円の、数量差で600億円の増益を見込む。特定事業・会社の収益改善プロジェクト「DARWINプロジェクト」(Dプロ)では、ポリプロピレンスパンボンド(PPSB)などで継続的に取り組む。

 設備投資は3年間で4千億~5千億円を計画する。人工知能(AI)データセンター・AI半導体、分離膜関連、宇宙、水素などの成長が期待される次世代市場への参入にも目を向ける。AIデータセンター・AI半導体向けでは複合紡糸技術を応用したマルチコア光ファイバーの開発を進めている。

繊維はインドなどに投資

 繊維事業は、25年度見通しで8%のROICを28年度に9%に高める。衣料用一貫型事業を成長の原動力とし、成長地域・分野に資本投下を傾斜、“勝ちパターン”戦略を強化する。設備投資は3年間で800億~1千億円を実施し、インドでの縫製やインドネシアでの高付加価値原糸の生産などに充てる。

 構造改革では、PPSBに加え、人工皮革とポリエステル・綿混織物で収益改善に取り組む。人工皮革は、ロシア・ウクライナ紛争の影響もあって、イタリアのアルカンターラで想定ほどの利益が上げられていない」(大矢社長)とし、ポリエステル・綿混織物は「一部撤退もあり得る」とした。

 なお、新中経は25年度下半期の状況を前提に策定した。大矢社長は「環境の変化は常に起こる。施策の変更はあるかもしれないが、自助でできる部分にしっかりと取り組む」と強調した。