繊維ニュース

特集 北陸産地(2)/産地と深く取り組む/蝶理/ソアロン/旭化成アドバンス/東レ

2026年03月27日 (金曜日)

〈蝶理/北陸との取り組み深化/海外での販売を加速〉

 蝶理の繊維事業本部は来期(2027年3月期)からの新中期経営計画で、グローバルな販売拡大と素材開発の強化に取り組む。「半工半商」を掲げて糸から生地、製品までの一貫生産する強みに磨きをかける考えで、特に「工」の強化を図る。

 国内ではポートフォリオを見直し、重点分野は設備投資も行って拡大する。引き続き北陸産地との取り組みを重視し、特にテキスタイルの強化に注力していく考え。

 海外での拡販を加速して産地品の出口を広げていく。海外をさらに伸ばすための人的投資も行い、駐在員を米国、中国、香港、欧州で各1人、ベトナムで2人増やす。米国の増員は製品とテキスタイル、欧州は繊維原料と生地、製品を伸ばす狙い。

 中国での増員は製品、香港は製品とテキスタイルを担当する。ベトナムは繊維原料の担当を増員したほか、STXの関連会社で製品担当を一人増やす。

 海外市場を伸ばしていくために、そこで売るための素材開発も重視する。芦田尚彦常務執行役員繊維本部長は「『半工半商』の『工』の部分を特に強化する」とし、北陸産地との関係を深化させながら、開発を強化していく考えを示す。

 開発の体制も強化し、繊維原料部とテキスタイル部に横串を入れて開発を進める素材イノベーションチームは、複数名の技術者を入れて増員した。昨年は北陸の協力工場でピン仮撚りの試験機と量産機を導入したが、とくに試験機の導入が開発強化につながっている。次期中計でも開発・モノ作りの強化に向けた設備投資を行う考えで、生地や染色加工などでも投資を検討していく。

〈ソアロン/販売量は下期に回復/販路の広がりが寄与〉

 ソアロンが展開するトリアセテート繊維「ソアロン」の販売量は今期(2026年3月期)、ほぼ計画通りになる見通し。上半期(4~9月)は中国向けの失速などで苦戦したが、下半期からは回復に向かっている。

 ソアロンの販売量は昨年10月以降、月を追うごとに回復している。GSIクレオスとの協業で展開領域を広げたことも奏功している。

 下半期の国内向けはニットが低迷するが、織物は計画以上で推移している。百貨店ブランド向けに加えてSC向けにも広げるなど、展開領域の拡大が増加につながっている。

 中東民族衣装用もサテンなど新しい商品の拡大やエニーカラーの広がりなどで堅調に推移する。低迷していた中国向けも底打ちし、12月からは各月とも前年比増が続く。

 販売の回復とともに、北陸産地への発注も染色加工を中心に戻しつつある。足元の販売量回復は新しい商品がけん引しているので、従来売れ筋の生機在庫は調整の途上にあるが、来下半期(26年9月~27年3月)の早期には、生機や糸加工での発注量も回復させる計画だ。

 来期は、GSIソアロンテキスタイルラボ(福井県あわら市)を活用して、開発をさらに強化する方針。若手を中心に人員を強化したほか、試作を強化するための設備投資も検討している。設備投資は新しいサイジング機を導入して外注にも対応するなど北陸との関係強化にもつなげる考え。

 東レやGSIクレオスとの協業をさらに進め、用途を広げる開発も進める。GSIクレオスとは、インナーやソックス、寝装などで開発が広がっている。東レとの協業でこれまでソアロンが展開しきれなかった領域も開拓していく考えで、さまざまな分野で開発に取り組む。

〈旭化成アドバンス/加工工程に積極投資/拡販で発注拡大目指す〉

 旭化成アドバンスは、委託加工を担う北陸産地に対して2026年度(27年3月期)も積極的な設備投資を実施する。10月には帝人フロンティアとの経営統合を控える同社。統合後も北陸産地への発注を維持・拡大するために一段の拡販に取り組む。

 25年度も売上高が前年度比微増で推移するなど比較的堅調に推移している。一般衣料分野は市況に勢いがないが、スポーツ・アウトドア分野は主力のナイロン織物を中心に好調。

 生産基盤の強化にも取り組んだ。特に衣料用テキスタイルは北陸産地での委託生産が同社の生命線だが、近年は人手不足などの影響から納期の長期化が課題。このため取引先アパレルとの綿密な取り組みと、生産計画や加工工程の工夫で納期の短縮を進めており、現在はラミネート品でも2~2・5カ月の納期対応が可能になった。

 24年には加工を委託する産地企業に新型ラミネート機を導入した。26年度もラミネート品の加工工程で新型の撥水(はっすい)加工機を導入し、細繊度品への対応力を強化するなど積極投資を継続する。

 10月には帝人フロンティアとの経営統合が控えるが、当面の発注計画には大きな変更はない。統合のシナジーによって販売量をさらに伸ばすことが、最終的には産地への発注量拡大につながるというのが同社の考えだ。26年度も引き続き輸出を重視する。特に中国市場はスポーツ向けテキスタイルやベンベルグ裏地の引き合いが強いことから、得意とする欧米市場に加えて力を入れる。

〈東レ/成長戦略と構造改革推進/石川工場スマート化〉

 東レは来期(2027年3月期)からの新中期経営課題で、引き続きROIC(投下資本利益率)経営を重視し、成長戦略と構造改革を推進していく考え。繊維事業はグローバルサプライチェーンを活用した「東レ流一貫型繊維事業」を衣料用途、産業資材用途とも進化させていく。

 次期中経も引き続き国内マザー工場における原糸・原綿全素材の生産基盤を維持・強化する考え。研究・技術開発を強化し、グローバル生産拠点を活用した最適地生産で事業を拡大していく。グローバル経営で得た利益は、国内での次の研究・技術開発に再投資していく。

 繊維事業の成長により、北陸産地との取引も伸ばしていく。次期中経も産地との関係を重視し、「より強固な連携を築いていく」とする。

 国内工場での設備投資も強化していく。石川工場(能美市)では高度化とスマートファクトリーを視点にした設備投資を強化する。スマート化では、人工知能(AI)を活用した自動化・効率化、AGV(無人搬送車)の導入などを検討していく。

 石川工場と産地企業とのデータ連携も広げていく。データ連携により、双方の品質改善や生産性向上などにつながっているという。石川工場だけでなく、愛知工場(名古屋市西区)や三島工場(静岡県三島市)にも拡大しており、今後はデータ連携する産地企業の数も広げていく。