ジーンズ別冊26SS(8)/日本綿布/ショーワ/コトセン/ドミンゴ/ベティスミス/タカヤ商事
2026年03月27日 (金曜日)
〈日本綿布 社長 川井 眞治 氏/インディゴが助けに〉
国内向け、海外向けともに堅調で、今期(2026年9月期)に入ってから増収基調で推移しています。1年以上先まで仕事が入っている状況で、猫の手も借りたいほどです。
特に国内外で需要が高まっている、シャトル織機で織るセルビッヂデニムはパンパンの状況。まさにインディゴが助けてくれています。
国内外に関係性の深い顧客がおり、しっかりとコミュニケーションを取りながら仕事を進めています。輸出のメインは米国向けです。西海岸の顧客が中心で、東海岸にも顧客がいます。
米国では、特にセルビッヂデニムなどはほぼ作られていません。当社の生地を頼りにしてくれているブランドが多く、今後もしっかりと供給をしていきます。併せて、今年も西海岸や東海岸の顧客のもとを訪問しながら関係性を深めていく予定です。逆に、海外顧客が当社を訪れるケースも多いですね。
欧州の顧客は、1社1社は大きくはありませんが、しっかりとした関係を築いています。
染めから織り、サンフォライズといった加工まで一気通貫の生産体制を整備していることが強みです。デニムだけでなく、チェック柄の生地やプリント生地、ジャカード生地など、生産できる生地もバリエーション豊富です。
当社の織機は古く、糸に強いテンションをかけて全速力で織ることができませんが、ゆっくりと織り上げるため、味のある生地の風合いが生まれます。これが生地の評価につながっています。
この間、若い人材が入社してきており、社員の若返りも順調に進んできました。
〈ショーワ 統括本部長 高杉 哲朗 氏/着実に注文こなす〉
2025年11月期は増収増益でした。セルビッヂデニムへのニーズが引き続き高く、この効果がありました。セルビッヂデニムの生産は1年半ほど先まで埋まっています。“ジャパンデニム=セルビッヂデニム”というような認識が定着しつつあります。
原料高などで、その都度価格改定をさせてもらいましたが、売り上げに比べて利益はなかなか出にくい状況です。
今期は、今ある注文を着実にこなしていきます。ただ、注文はあるものの、生産が追い付いていない状況が続いています。
当社ではシャトル織機を10台保有しています。受注の入っているセルビッヂデニムの生産に向けて、織機をもっと回していきたいですが、人手不足もあり、機械はあるものの生産量を増やせない状況。もちろん、シャトル織機の稼働における手間の多さもあります。
セルビッヂデニムでは注文が先まで入っていることから、「似たような糸使いのダブル幅のデニムで」という声も一部で出ています。中国でもセルビッヂデニムを作ってきており、日本の生地と比べてクオリティーはまだこれからですが、懸念しています。
海外顧客も元気です。ただ、海外向けでは国際認証の取得も今後考えていく必要がありそうです。海外展への出展も模索します。
設備投資面では環境配慮へ向け、本社織布工場の上に太陽光パネルを設置しました。1月から稼働を始めています。
生地の開発も引き続き進めていきます。夏の猛暑が深刻になる中、接触冷感の機能を持つデニムを開発しました。
〈コトセン 社長 渡邉 将史 氏/日本のモノ作り発信したい〉
三備産地内では現在、セルビッヂデニムをはじめ、生産が堅調な工場が多いです。これに比例して、当社でも忙しい状況が続いています。上半期(2025年9月~26年2月)は微増収でした。今期は前期比10%増収を目指しています。
顔料や樹脂コーティングのほか、アルカリ処理を施してデニムの綾目を際立たせるMC加工、経年変化による変色を表現できる熟成加工といった特殊な加工技術を持っています。
生地の最終仕上げである整理加工に特化した工場として、「当社にできることがあれば、活用してみてほしい」といった声掛けを行ってきました。産地内で関係性の構築が進み、コミュニケーションも増えてきています。顧客の商品に当社の加工をプラスして、新しいモノ作りを進めていければと考えています。
整理加工を含め、日本のデニムのモノ作りをもっと発信していきたい。その思いから、ユニフォームブランド「ラダー」を立ち上げて展開しています。
今年は広く発信するツールとして、一般向けのオリジナル商品も作る予定です。ラダーのコンセプトは「はたらくをたのしむ」。このコンセプトが伝わるような商品を作っていきます。
当社は岡山県織物染色工業協同組合による安心、安全な加工ブランド「倉敷染」の認定工場でもあります。オリジナル商品では倉敷染も盛り込みながら発信していきます。
クラボウの裁断片などを開繊、反毛技術で再資源化する「ループラス」で試験布などをリサイクルする取り組みでは、当社がハンドリングしつつ、産地の織布工場と協力して新企画を打ち出していきます。
〈タカヤ商事 社長 落合 豊 氏/RNA新店の販売堅調〉
2026年2月期は前期比3~4%の増収でした。利益は前年並みか増益を見込んでいます。
ジーンズ・RNA事業部においては、ジーンズ部門でアウトドアブランドの「ハク・マウンテンサプライ」の販売が軌道に乗ってきました。韓国や中国への販売も実績が出てきています。急がずにしっかりとブランディングをしながら、欧州販売への足掛かりも作りたい。
レディースカジュアルブランドの「RNA」部門では昨年、新宿ミロード店(東京都新宿区)が閉店しました。稼ぎ頭の店舗だっただけに、業績にこたえそうだと危惧していましたが、一昨年から昨年にかけて出店した店舗の販売が堅調に推移したことで落ち込みを補えました。アミュプラザ博多店(福岡市)が好調で、同店のみで新宿ミロード店の売り上げをカバーできています。
ワークウェア・OEM事業部では、ワークウェア部門は上半期に苦戦しましたが、下半期に納入向けの受注につながるなど調子が上がってきました。OEM部門は売り上げが計画通りに推移。一方、国内生産を活用したアッパーゾーンのブランド向けは競争が激しく、利益面で懸念があります。
今期は、ジーンズ部門では百貨店の統廃合によって売り場の縮小が予想されるため、東京を軸に出店を進めます。RNA部門でも再出店の話などが複数あり、精査しながら、無理のない範囲で出店します。
ワークウェア部門は夏場の強化以外ありません。暑熱対策商品の提案をしっかり行います。OEM部門では生産体制を見直します。アッパーゾーン向けの中でもボリュームゾーンに近いものは国内での生産が難しくなってきています。顧客に理解を求めながら、海外生産の提案も行います。
〈ベティスミス 社長 大島 康弘 氏/若手育成に注力〉
2026年6月期上半期(25年7~12月)は、増収増益でした。ジーンズに追い風が吹いたことに加え、旺盛なインバウンド需要が業績伸長をけん引しました。円安で原燃料が高騰した影響により、販売価格を引き上げたことも要因の一つです。受注は増える傾向にありますが、今後を見極めたい。
1962年に岡山県倉敷市児島で国内初のレディースジーンズメーカーとして誕生して以来、さまざまな取り組みを通じて“ジーンズ文化の創造”に努めてきました。現在注力しているのが、若手の育成です。人手不足などのさまざまな要因で生産能力が漸減するジーンズ産地では、モノ作りをどのように維持していくかが、鍵となっています。
幸い「ベティスミスで働きたい」という声が多く寄せられており、若い技術者が育っています。人工知能(AI)時代だからこそ、手に職をつけることの意味に変化があったのではないでしょうか。今後も繊維マイスターの取得支援などを通じて、若手の成長を後押ししていきます。
次の世代で、海外市場へ進出できるよう足場固めも進めます。昨年、オランダ・アムステルダムで開かれたデニム関連の展示会、「キングピン」に出展しました。今後は、若手が海外へ行けるような機会を設けたいと思います。
産業観光の先駆け的存在ともいえるジーンズミュージアム&ビレッジ(岡山県倉敷市)は、今では年間5万人の観光客が来場するようになりました。幅広い世代から支持を集め、親子三世代で訪れる観光客もいます。昭和に建てられた歴史ある建物も魅力の一つとして、維持存続に努めます。
〈ドミンゴ 社長 内田 公也 氏/海外販売にも力〉
2026年3月期は前期並みか微減収の見通しです。今期は夏季の販売が苦戦を強いられました。夏に布帛で勝負するのはなかなか難しいと感じます。こまめな提案とともに、商品を含めて組み直しが必要です。特に卸売りは同じことだけをやっていると売り上げが落ちていきます。
直販事業はスタッフが接客、集客を頑張ってくれており、大阪店(大阪市西区)、京都店(京都市)、児島本店(倉敷市)の三つの直営店は売り上げが微増しています。電子商取引(EC)は、セール時の値決めや効果のある広告など、マネージャーが損益を考えながら、さまざまな工夫をしています。
「D.M.G.」「SPELLBOUND」(スペルバウンド)、「OMNIGOD」(オムニゴッド)、「Brocante」(ブロカント)の4ブランドを持っていますが、それぞれの方向性を変えながら、今後も独自性を付けて展開していきたいですね。
海外販売にも力を入れます。SPELLBOUNDではフランス・パリの「ウェルカムエディション」やドイツ・ベルリンの「ザ・ユニオン」などの展示会に出展しながら販路を開拓してきました。継続出展しながら、まずは欧州市場を攻めます。
他ブランドでも合同展へは積極的に出展していきます。今月18、19日に東京都内で開かれた「トラノイ・トーキョー」にはブロセントが出展し、アピールしました。
小ロット生産とサンプル作成を担う直営の縫製工場「D-ソーイング工房」(香川県さぬき市)では、スタッフのモチベーションを高める施策を進めています。ジーンズソムリエの取得のほか、地域のイベントへの参加もしています。





