テクテキスタイル/防護繊維が実装段階へ/欧州で防衛需要の高まり受け
2026年03月30日 (月曜日)
欧州で防衛費の拡大が続く中、防護繊維の開発が「研究段階」から「市場投入」へと移行している。4月21~24日にドイツ・フランクフルトで開かれる産業用繊維の国際見本市「テクテキスタイル」では、防衛用途を意識した実用素材の展示が相次ぐ見通しだ。
欧州連合(EU)の防衛費は2025年に約3810億ユーロと過去最高を更新。欧州防衛基金の26年作業計画でも「スマートで多機能な繊維」が重点分野に位置付けられ、繊維技術の重要性が一段と高まっている。
主催者のメッセ・フランクフルトによると、出展企業は1500社超。このうち1割以上が防護用途向けの新素材を披露する。弾道防護や難燃性、耐久性に加え、快適性や作業性を両立させる素材開発が主軸となる。
加えて、化学物質規制の強化も技術開発を後押しする。撥水(はっすい)・撥油(はつゆ)加工に使われてきた有機フッ素化合物(PFAS)の規制を背景に、代替技術の需要が拡大している。
調達側の要求も変化している。防弾装備や化学・生物・放射性・核(CBRN)防護服では、性能だけでなく「量産のしやすさ」や「品質の再現性」が重視される。規格に適合し、安定供給できる材料の確保が課題となっている。
会場では、素材から加工までを横断した提案が目立つ。レンチングは繊維自体に難燃性を持たせたセルロース繊維を紹介。韓国のヒョソン・アドバンスト・マテリアルズは高強度の合成繊維を展示する。
併催の「テックスプロセス」には約200社が出展し、仕上げ加工や工業生産の技術を提示。両展合わせて、出展は1700社規模となる。
現場では用途横断型の素材開発が進む。ベルギーのコンコルディア・テキスタイルの担当者は「軽量で耐久性が高く、保温性や加工性を備えた素材が各分野で共通して求められている」と指摘する。
一方、技術競争の軸も変わりつつある。ドイツのザクセン繊維研究所のイリング=ギュンター所長は「新素材だけでなく、試験の容易さや量産工程への移行の確実性が競争力を左右する」と強調する。
展示では、光ファイバーや高機能繊維を組み込んだシステム製品も紹介される。繊維単体から装備システムへと、産業の裾野が広がっている。
会期中のフォーラムでは、航空宇宙分野の知見も共有される予定で、スマートテキスタイルや高耐久材料の実用化に向けた議論が進む見通しだ。
防護繊維市場は、技術開発と量産技術の両立が競争軸となり、新たな成長局面に入りつつある。





