特集 尾州産地総合(3)/在名商社/尾州との取り組み
2026年03月30日 (月曜日)
〈タキヒヨー/執行役員 素材開発/販売グループマネジャー 中嶋 正樹 氏/尾州とモノ作りで深耕する〉
――尾州との取り組みについて。
ジャケットやボトムス用途などのポリエステル・レーヨン混生地や、ウール使いやツイードといったコート地などの企画立案・生産依頼で取り組みを継続しています。尾州ならではの意匠性や機能を持たせた、モノ作りの優位性を生かした協業が続きます。
――尾州の強みは。
分業体制で多品種かつ高品質なモノ作りができることです。また、反毛や毛七(けしち)に代表される伝統的な羊毛の再生技術も今に生かされています。サステイナブルかつ追跡可能性を持つ点を打ち出し、エシカル(倫理的)な側面とともに欧州をはじめ海外アパレルに販売できる可能性を持ちます。尾州が継承してきたモノ作りの技術や文化を生かすといった“川上”に向けた取り組みを推進することも必要です。
――尾州との取り組みを深めるために、どう関わりますか。
素材開発/販売グループは国内の有力アパレル企業やセレクトショップ、SPAに向けて生地を販売しています。ミドルレンジと言われる中価格帯の販売先に向け、ファッション性や機能性を明確化した素材の企画・生産管理・販売で関わりを深めたいです。ウールが持つ機能を引き出す方向性と、意匠糸の形状や特徴をデザインに生かすといったポイントを軸に、差別化素材を打ち出すために必要な要素を追求していきます。
――尾州のサプライチェーン構築への支援も重要です。
尾州の企業がRWSなど国際認証を取得する際の支援など、独自の流通経路の構築を進めるべきだと考えます。海外向けだけでなく国内でも透明性の高いビジネスを確立することが求められますので、尾州の企業とともに深掘りを進めていきます。
〈瀧定名古屋/婦人服地32課課長 山口 祐海朗 氏/尾州で独自性 高い生地生産〉
――尾州の現況をどう見ますか。
昨年末の急激な冷え込みで店頭での販売が好調だったため、紡毛コート地のほか、梳毛生地などの動きは堅調です。26秋冬向けを提案していく中で、明るい材料となっています。一方で、生産力の低下が心配です。大手や中小などで織布工場が減っています。リードタイムが長期化しており、納期対応の部分は不安材料と言えるでしょう。
――尾州の魅力は。
やはり仕上げ加工のバリエーションの豊富さでしょう。この産地でしかできない加工や風合いは多く、それが強みと言えます。小ロットや別注などにも対応しており、こだわりを持つ顧客に応えることができます。各工程は細分化していますが、産地内で一気通貫によるモノ作りができるのも魅力です。
――尾州との取り組みについて教えてください。
当社の原料部と連携して取り組んでいる自家生産は仕入れた糸を尾州で織って、加工しています。2015年からスタートしましたが、徐々に広がりを見せています。尾州の仕入れ先の商材とは重ならないよう、当社の独自性をより高めた生地の開発を進めています。生地コンペ「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」でも毎年受賞しており、こだわりのモノ作りに力を入れています。
ソトー内にラボも設けており、自家生産の生地や製品などを展示しています。昨年11月には子会社のタキサダテクニカルサクセサー(愛知県春日井市)と協業している縫製工場、モンナトリエ(同)内にギャラリー「タキサダクラフトマンシップ」も設けました。尾州産の生地も展示しており、製品で出荷できる体制を整えています。高級ゾーンを狙い、製品までのモノ作りをPRしています。
〈豊島/執行役員素材担当 近藤 裕幸 氏/モノ作りの協業と販売支援〉
――尾州の現況をどのように見ていますか。
昨年末、店頭では紡毛コートの販売が堅調だったこともあり、今シーズン向けは活発に動いています。一方で原毛価格が高騰し糸値が上昇しているため、尾州の産地企業は難しいかじ取りを強いられています。羊毛相場は以前と比べて2~3割ほど上がっている状況です。
――改めて尾州の魅力や強みは。
各工程が分業で残っているところです。各工程にモノ作りのプロフェッショナルがおり、尾州のモノ作りを支えています。他産地ではサプライチェーンの寸断が起きていますが、尾州は紡績から、撚糸、染色、織布、編み立て、仕上げまで全ての工程がそろっており、産地内で完結できる点も強みでしょう。
産地としての規模縮小は事実ですが過度に悲観しても仕方がありません。新興のデザイナーはこだわったモノ作りを志向しており、尾州を含めて国内産地に目を向けていますので頼もしく感じます。
尾州でもそうしたデザイナー向けに販売を進めている企業もあり、ビジネスとして軌道に乗りつつあるようです。
――尾州との取り組みで力を入れている点は。
まずは協業した糸の開発です。当社が持つ幅広いマーケット情報を生かしつつ、尾州と連携してモノ作りを進めています。当社は合繊を扱っておりノウハウもありますので、今後はウール以外でも開発を進めたい。
もう一つは出口を見据えた販売戦略です。尾州で仕入れた生地を当社が販売していく中で、われわれが仲介役となることで尾州と顧客を結び付けることができます。今後も協業したモノ作りと販売支援の両面で尾州に関わっていけたらと考えています。





