不織布新書26春(1)/国産が25万トン台に/大手の構造改革で
2026年03月31日 (火曜日)
不織布生産量の減少に歯止めがかからない。経済産業省の生産動態統計によると、日本の不織布生産量は2025年、8年連続で前年実績を割り込み、前年比4・9%減の25万6991トンと25万トン台まで落ち込んだ。大手合繊メーカーを中心に縮小、撤退、事業売却が進んでいるためだが、一方で中小の存在感が増す。日本の不織布産業は大きな転換期を迎えた。
〈生活関連は8年連続減/医療・衛材も5年連続で〉
用途別に見ると、規模が小さく、大勢に影響がない衣料用(10・2%増)と農業園芸用(29・8%増)は2桁%の伸びとなったが、量的に大きい生活関連(7・2%減)、医療・衛材が(7・5%減)が落ち込んだ。生活関連は8年連続、医療・衛材は5年連続の減産となる。一方で、生活関連、医療・衛材に次ぐ大型用途である車両用は2・4%増と増産に転じた。
不織布生産量のピークは17年。その後、前年割れが続いており、この8年間で約8万6千トンも減少した。最大の要因は13~16年に年間10万トンを超えていた医療・衛材の減少だ。25年には6万1995トンと17年に比べて37%、3万6千トンも落ち込んだ。
一つは紙おむつなど衛生材料の国内生産の落ち込み、もう一つは新型コロナウイルス禍特需だったマスクの終息が背景にある。これらが合繊メーカーなどが主力のポリプロピレンスパンボンド不織布(SB)の生産減につながった。その中で三井化学と旭化成の国産大手2社は、合弁会社、エム・エーライフマテリアルズ(東京都中央区)を設立するとともに、構造改革に着手している。
生活関連は25年が6万7403トンと8年間で23%、1万9千トン強減った。これは主にスパンレース不織布(SL)の落ち込みとみられる。中国からの輸入急増など海外生産品との競合激化が背景にあり、合繊メーカーではクラレ、綿紡績では日清紡テキスタイルがSLから撤退するに至った。
この2用途だけで5万6千トン強も生産が減っており、全体の65%を占めている。つまり、日本の生産量が減少しているのは、大手合繊メーカーを中心に大量生産型のSBやSLの縮小、撤退による影響が大きい。
〈中小企業がけん引/人手、設備、原料が課題〉
逆に不織布業界の大半を占める中小に大きな変化はない。元々、不織布産業は中小企業で成り立っていた。そこに合繊メーカーはじめ大企業が参入し、衣料用繊維が落ち込む中で繊維事業における不織布の重要性も高まった。衛生材料などの需要増もあって規模を拡大していった。
しかし、衣料用繊維と同様に輸入不織布との競合や海外生産による不織布製品の増加、さらに国内需要の落ち込みから一変。昨今はROIC(投下資本利益率)重視の経営が強まり、低採算の不織布の構造改革が進んだ形だ。その中で中小の存在感が増す。ただ、中小にも人手不足や設備更新に伴う資金難など課題がある。
さらに中小に多い短繊維不織布は原料となる合繊短繊維の国内生産量が減少している点も懸念される。国産の特種な合繊短繊維を使用し付加価値を高めてきたところもある。それが手に入りにくくなっている。
日本化学繊維協会がまとめた25年度のポリエステル短繊維の国内生産量は前年度比7・3%減の5万2743トン。17年比で見ると57%、4万トン弱も減っている。手に入らなければ海外からの調達しかないが、品質やロットの問題がある。品質を維持し、さらに付加価値を高めるには原料だけに頼らない、加工技術開発力が、今中小に問われている。
昨今は米国・イスラエルによるイラン攻撃に伴う原油価格の高騰も懸念材料だ。原料比率が高い不織布だけに、その対応も必要になっている。





