不織布新書26春(3)/繊維素材大手/不織布関連の改革進む/もはや成長分野ではない
2026年03月31日 (火曜日)
2023年以降、繊維素材大手による不織布関連事業の構造改革が相次ぐ。不織布だけではない。短繊維不織布の原料となる、化合繊短繊維も同様で、生産休止などにより短繊維不織布メーカーは大きな影響を受けている。
〈原料の廃番対応苦慮/代替の試験費用増加〉
合繊メーカーにおいて不織布が成長分野に位置付けられたのは約10年前。今では成長分野どころか低採算事業として合弁、縮小、撤退、売却などさまざまな手法で構造改革が行われている(表参照)。10年前から海外拠点で拡大投資を続けた東レは、ポリプロピレンスパンボンド不織布(SB)事業を、「特定事業・会社の構造改革」(ダーウィンプロジェクト)の対象とし、韓国・中国子会社の生産規模縮小を実行する。環境は大きく変化した。
短繊維不織布の原料となる化合繊短繊維も同様で、この10年間で、廃番・品番の統合などが増えている。
不織布を使った製品加工を行うある企業は「合繊短繊維では生産中止の品番が増えてきた。代替品を探すのに苦労している。代替原料が見つかっても、その不織布を生産できるメーカーも少なく、スペースも限られているため供給面で不安を抱えている」と話す。原料変更のため、その先の需要家の認証も必要になる。
国産品からの代替原料を輸入に頼るところは多いが「品種によってはバラツキもある」とある短繊維不織布メーカーは指摘する。
しかも、原料変更に伴う試験など開発費用は「ばかにならない」と別の短繊維不織布メーカー。もちろん、化合繊短繊維メーカーは円安も含めたコストアップに伴う価格転嫁をしているため、原価上昇が進む。
〈東レ、日本バイリーン/資本関係に終止符〉
構造改革とは異なるが、昨年11月にも大きな動きがあった。東レが日本バイリーンの持分25%を独フロイデンベルグSEに約170億円で売却すると発表したからだ。日本バイリーン創業当初から出資する東レが抜け、日本バイリーンはフロイデンベルグSE100%子会社になった。
日本バイリーンは1960年にカール・フロイデンベルグ(現フロイデンベルグSE)、大日本インキ化学工業(現DIC)、東レなどの合弁により設立された。16年にはTOBによりフロイデンベルグSE75%、東レ25%の合弁会社になっていた(DICは2010年に保有株式を売却)。
持分売却は昨年6月、フロイデンベルグSEから合弁契約に基づくコール・オプション行使による100%子会社化の申し入れによるもので、売却額は約170億円。東レは2026年3月期に売却益約60億円(税引き後)を計上する。
東レと日本バイリーンの65年に及ぶ資本関係に終止符が打たれたが、両社は「創業以来、株主として支えてもらったことに感謝している。今後も取引は継続するので、良い関係性を継続できると考えている」(日本バイリーン)、「この65年間の協力関係は両社の技術力や事業の拡大に大きく寄与した。株主の立場でなくなるが、培った信頼やパートナーシップは変わらず、両社のさらなる発展につながると確信している」(東レ)とコメント。連携は変わらず、人材交流も続けるとしている。
〈不織布輸入/遂に生産と逆転/いつか見た光景…〉
遂に不織布生産と不織布輸入が逆転した。2025年の生産量は前年比4・9%減の25万6991㌧、輸入量は3・9%増の26万1513㌧となった。輸入量は21~23年まで前年を割り込んでいたが、24年以降は増加。25年は20年並みの高水準となった。
輸入をけん引するのはレーヨン短繊維不織布。25年は前年比5・8%増の6万8122㌧となった。主にスパンレース不織布(SL)とみられる。05年6570㌧に過ぎなかっただけに、10倍以上にまで増えた。
24年にはクラレ、日清紡テキスタイルがSLから撤退。フタムラ化学(名古屋市中区)がSLと用途が類似する世界唯一の湿式短繊維スパンボンド法セルロース不織布「TCF」の生産を3月末で休止する一因ともいえる。
輸入最大のポリプロピレン長繊維不織布も2・9%増の11万2418㌧となった。ピークだった18年の14万㌧強からは落ち込んでいるものの、国内最大手のポリプロピレンスパンボンド不織布(SB)製造で、三井化学と旭化成の合弁会社、エム・エーライフマテリアルズ(MAL、東京都中央区)が構造改革を進めているだけに、国内生産は減少傾向。その穴を埋めるため、MAL、さらに東レが海外拠点のSBを日本へ輸入していることも大きい。特に東レが生産拠点を置く中国からの輸入が増えている。
国内生産の減少と輸入増。いつか見た光景。不織布も衣料用繊維と同じ道をたどり始めたのかもしれない。





