不織布新書26春(4)/NBセーレン 社長 結川 孝一 氏/旧ユニチカ岡崎を承継「変えよう、変わろう」/企業構造・体質を転換/工場も利益追求する組織
2026年03月31日 (火曜日)
セーレンは今年1月1日、旧・ユニチカ岡崎事業所(愛知県岡崎市)を買収・承継したNBセーレンを発足した。ユニチカの前身であるニチボーとニューボーン(新生)の意味を持つNB。年間11億円の赤字だった事業をどう生まれ変わらせるのか。NBセーレンの結川孝一社長に話を聞いた。
――セーレン子会社となって約3カ月が経過しました。
今年初出の第一声でスローガンである「変えよう、変わろう」を従業員に伝えました。経営方針は①企業構造、企業体質の転換②ビジネスモデルの変革③シナジー効果の最大化の三つです。これらに取り組むことで、2027年3月期の黒字化を目指します。
企業構造、企業体質の転換としてはまず組織を変えました。セーレン方式を導入し、営業だけでなく、本社工場も利益を追求する体制にしました。
本社工場はこれまで合理化、効率化投資を行っていませんでしたが、原材料調達の変更やエネルギー転換などコスト削減の対策を講じ、本当の意味での地力をつける必要があります。
そのためにも組織を変えて、少しずつ理解を深めていきます。多能工化も進めます。環境変化が著しい中で流動的にワーカーが移動できる柔軟な人員配置にします。そうしなければ生き残れません。これは口酸っぱくいっています。
新用途、新規顧客の開拓も重要です。これまでは糸・わた、スパンボンド不織布(SB)を販売するだけで、加工による開発はやっていない。当社の従業員にセーレン本社を見学させましたが、カルチャーショックを受けているようでした。
セーレンでは顧客が何を求めているのか、満足するにはどうすべきかを考えて開発していました。その際、120点を追求します。100点の追求では80点、90点で終わってしまうからです。
〈材料屋から商品屋に〉
――ビジネスモデルの変革の具体策は。
材料屋から商品屋になることです。セーレンが変われたのは一貫生産体制を構築してきたからです。受託の染色加工では市場で何が求められているかが分かりません。自ら一貫生産すれば満足させられる商品作りができます。NBセーレンも時間はかかるでしょうが、それを目指します。
もう一つは新規事業の開拓です。NBセーレンの本社工場は立地が良い。日本の真ん中にあり、愛知県は日本で最も製造業が集積しており、人口も多く、需要家も多い。物流面でも利便性が高く、コスパ、タイパに優れています。それを生かします。
本社工場は広大な敷地ですが、稼働しているのは約6割。残りを新規事業に活用します。ポリエステル長・短繊維とSBだけでは生き残れません。事業転換が必要です。
幸い、セーレンには数多くの新規事業がありますが、人手や工場敷地などが不足しています。それを持ち込む。既に自動車内装材の生産も一部始めています。グループにとってもプラスですし、当社もグループに貢献できます。
――グループでどのようにシナジーを最大化するのですか。
KBセーレンとの連携が一つです。両者は同じものを製造していません。逆に当社とNBセーレンの2社で作れないものはありません。それぞれで生産したものを両社で販売するなど相互乗り入れは可能です。
当社にはない織布、編み立て、染色、縫製もグループ内にあります。加工度を高めて付加価値を上げることに活用できます。さらに、セーレンは海外10カ国・42拠点を持っています。これを生かして当社のグローバル化ができると考えます。
〈コスト見直しへ投資も〉
――既存の需要家はユニチカからNBセーレンに変わって今後どうなるのか、不安を抱えています。
一部事業転換に伴うものを除き事業は基本継続します。ただ、赤字ではできない。お互い知恵を絞りあって事業継続に取り組む必要があります。当社はコスト体制を徹底的に見直します。
その一つがエネルギーの転換です。3月から切り替えを始め、今年10月までに、生産量に応じたボイラー規模に変えるとともに、自家発電から買電に切り替えます。重合設備の規模も適正化する予定です。来年には明確化できると思います。同時に自動化・ロボット化、寄せ止め(設備の集約、不要設備の停止)など、生産設備にも投資を行い、コスト削減を図ります。
――ユニチカのタイのSB製造子会社だったタイ・ユニチカ・スパンボンド(TUSCO)は帝人フロンティア傘下になりました。
TUSCOとは別の道を歩むことになりました。しかし、TUSCOからSBを調達する可能性はあります。また、支援を求められて契約上の合意ができれば支援することはあり得ます。
――NBセーレン設立前から従業員が退職していたと聞いています。
事業承継が決まってからはわずかです。電気など専門職が不足していますが、生産は問題ありません。





