不織布新書26春(5)/東レ/フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン/帝人フロンティア/MAL/東洋紡せんい
2026年03月31日 (火曜日)
〈東レ/高機能不織布に重点/新体制でフィルターなど強化〉
東レの不織布事業部は、高機能不織布の拡販に重点的に取り組む。そのために2026年度から組織も改編し、ポリエステル(PET)だけでなくポリプロピレン(PP)などオレフィン系も含めたスパンボンド(SB)不織布を一体で取り扱える体制とした。エアフィルター事業も移管されることで、フィルター用途を中心に加工度を上げる。
佐々木望不織布事業部長によると、25年度はPETSB「アクスター」が堅調だった。「一部中国向けで荷動きが鈍ったが、欧米や国内向けはフィルター用途が好調」と話す。ただ、土木用途は人手不足による工事の遅れから伸び悩んだ。
一方、PPSBは、韓国子会社のトーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア(TAK)の生産規模を24年度に縮小するなど「生産アロケーションの見直しで収益改善が進んでいる」。中国子会社の東麗高新聚化〈南通〉(TPN)と東麗高新聚化〈佛山〉(TPF)は競争力があり、インドネシア子会社のトーレ・ポリテック・ジャカルタ(TPJ)は“地産地消”ニーズに対応している。
26年度から不織布事業部は組織を再編し、スパンボンド課、機能素材課、エアフィルター課の体制とする。スパンボンド課にオレフィン系SBを扱うアートレイグループとPET系SBを扱うアクスターグループを置き、連携を強める。用途に応じてさまざまな機能や形状が可能なオレフィン系SB「アートレイ」も昨年12月から量産販売が始まった。26年度は本格拡大を目指す。
ポリフェニレンサルファイドやアラミド、フッ素など高機能繊維不織布の拡販にも取り組む。さらに不織布・人工皮革部門のエアフィルター事業がエアフィルター課として移管されることを生かし、エアフィルター事業が中国やASEAN、インドに持つ加工ネットワークを活用し、PET系SBとオレフィン系SBともに商品の加工度を上げることにも取り組む。
〈フロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン/建材、土木分野伸ばす/新規商材も本格販売へ〉
フロイデンベルググループのフロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン(大阪市中央区)は、2026年度(12月期)から屋根防水材向けポリエステルニードルパンチ不織布「ドリップストップ」を本格販売するなど、建材や土木分野での販売拡大に取り組む。
25年度は、主力のポリエステルスパンボンド不織布(SB)の価格改定効果で採算が改善したほか、競合企業の事業再編によるシェア拡大もあって前年度を上回る業績となったもようだ。カーペット基布や防水材、防草シートなどの用途が好調だった。また、シューズ用途も拡大が続く。大手シューズブランドが環境配慮の観点からモノマテリアル化を進めており、部材としてポリエステルSBを採用する動きが拡大した。
新規商材として提案を進めているドリップストップは建材としての販売に必要な不燃材認定が今年6月には取得できる見通しとなった。このため26年度は販売が本格化する見込みだ。また、屋根材用途で3次元構造体「エンカ」の販売も徐々に増えてきた。このため26年度はポリステルSBによる既存用途に加え、ドリップストップやエンカで屋根材や土木用途でのシェア拡大を目指す。
〈帝人フロンティア/縦型不織布を拡大/短カットわたは能力増強〉
帝人フロンティアの短繊維素材本部は、2026年度(27年3月期)の重点施策として縦型不織布の拡販に取り組む。特に自動車用途への提案を進める。また、好調が続くポリエステルショートカットファイバー(短カットわた)は、タイ子会社でのさらなる生産能力増強を決めた。
堀田敏哉短繊維素材本部長によると、25年度の不織布向けポリエステル短繊維と不織布原反販売は生活資材用途の荷動きが鈍いが、自動車用途が堅調だった。水処理膜支持体向けの短カットわたも堅調。このため生産拠点であるタイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)の能力増強の立ち上げを当初予定していた25年12月末から同年9月末に前倒しした。
26年度は縦型不織布の拡販を進める。特に自動車シートのワディング材にウレタン代替として提案する。ドイツの自動車内装材子会社、ジーグラーも縦型不織布の設備を導入しており、4月からは短繊維素材本部の管轄となる。日独二極で提案と供給を進める考えだ。
短カットわたは新たにタイ子会社のテイジン〈タイランド〉(TJT)での生産も決めた。28年1~2月ごろには設備を立ち上げる予定だ。これにより生産能力は約10%増加する。
また、TPLはユニチカグループのTUSCOの事業譲受でポリエステルスパンボンド不織布に参入した。既存顧客への安定供給に努めながら、新規用途開拓やASEAN市場の開拓に取り組む。
〈MAL/研究拠点を守山に一本化〉
三井化学と旭化成のスパンボンド不織布(SB)合弁、エム・エーライフマテリアルズ(MAL、東京都中央区)は今春から研究開発拠点を現・旭化成のスパンボンド工場(滋賀県守山市)に一本化する。これまで三井化学のVISION HUB SODEGAURA(千葉県袖ケ浦市)との2拠点で研究開発を行ってきた。一部は人材交流してきたが、集約化によりそれぞれの技術を融合した開発をより強化する。
同社は2023年10月に発足。衛生材料向けポリプロピレンSBは国内とタイ子会社での合理化を進める一方、産業資材の強化に取り組んできた。26年3月期は合理化効果が表れる一方、タイ子会社2社からの輸入販売が円安バーツ高の影響を受け利益面では苦戦した。来期も引き続き衛生材料向けで汎用(はんよう)品の構造改革を進めるとともに、中空SB「エアリファ」に親水加工SB「エルタスアクア」の技術を応用するなど差別化SBを重視。産業資材用では電子材料向け細繊度メルトブロー不織布のほか、食品包材用ポリ乳酸SBなどに力を入れる。
〈東洋紡せんい/3月末にTB休止〉
東洋紡せんいは3月末で東洋紡庄川工場(富山県射水市)で生産するサーマルボンド不織布(TB)設備を休止、同事業から撤退する。既存の需要家に対しては、在庫を積み増して切り替えまで対応する。主に強度が求められるフィルター関連などに販売してきた。





