不織布新書26春(6)/旭化成/ダイワボウレーヨン/丸三産業/宇部エクシモ

2026年03月31日 (火曜日)

〈旭化成/スリット糸が好評/インテキ上海で関心〉

 旭化成が2025年から本格販売するキュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」のスリットヤーン「Bembreez」(ベンブリーズ)が国内外で好評を得ている。11~13日に中国・上海で開催された世界最大級の服地と副資材の国際展「インターテキスタイル上海26春」の同社ブースにも出品したが、前9月展よりも「実質2倍以上の来場者が訪れるなど盛況だった」(森嶋誠ベンリーゼ営業部長)と言う。

 旭化成としてはキュプラ繊維「ベンベルグ」を中心にした出展となるが、ベンブリーズは前9月展よりもスペースを拡充。ブースには手芸コーナーを新たに設け、その場で手編みができる工夫も凝らした。

 「来場者の80%はニット関連だったが、残る20%は手編み関連だった」。日系出展者で手編み関連素材の出品がないこともあり、注目を集めたようで「26年度に向けた新規開拓の材料を手にすることができた」と手応えを得た。

 ベンリーゼは25年から次代に向けた新展開を本格化した。工業用ワイパー、医療用ガーゼ、フェースマスクなど既存用途が成熟期にある中で、次の成長分野、新エリア開拓でポートフォリオを転換する戦略を組む。

 その一つがベンブリーズになる。ベンリーゼと既存用途で競合するスパンレース不織布(SL)にはできない商品でもある。ターゲットに定める紙糸に対してはソフトという優位性もあり、衣料だけでなく、手芸糸、雑貨などにも展開する。

 ベンリーゼは世界唯一の不織布で生分解性があり、不純物が少なく、長繊維のため短繊維SLに比べて毛羽の発生も少ない。吸液性・保液性、密着性、透明性も高く、制電性、耐熱性、摩擦によるダメージも少ないなどの特徴がある。

〈ダイワボウレーヨン/品種転換で収益改善/タンポン用を本格化〉

 ダイワボウレーヨンは引き続きコスト上昇分の転嫁を進める一方で、採算を重視し高付加価値品への転換を進め、収益改善を図る。

 今期(2026年3月期)、レーヨン短繊維需要は旺盛で販売も好調に推移した。フル生産できたが、特殊要因も重なり原材料費が高騰。価格転嫁に取り組むものの、補い切れなかった。このため、来期は今期以上に価格転嫁と生産品種の入れ替えを行う。

 乾式不織布用は定番品から付加価値品へシフト。湿式不織布用は効率化を図るため、品種統合にも取り組む。

 高付加価値化の一環で、衛生材料であるタンポン向けの開発も進める。タンポン用は品質基準が厳しいが、既に来期からの本格化に向けて需要家段階で評価中。中国へのマーケティングも活発化する。

 今春から営業部の組織改正も行い、不織布原料課、機能原料課を販売課と開発営業課に再編。クロスオーバーで商品開発、用途開拓する体制に変え、高付加価値化を推進する。

 コスト削減の一環では益田工場(島根県益田市)のエネルギー転換も行う。C重油による高圧ボイラーと自家発電設備を廃止し、LNG(液化天然ガス)焚き貫流ボイラーと外部からの電力調達に切り替える。27年10月からの稼働を予定する。

〈丸三産業/輸出強化の新施策/5月の欧州展に初出展〉

 丸三産業(愛媛県大洲市)は輸出強化の一環で、5月19~22日、スイス・ジュネーブで開催される欧州不織布展「INDEX2026」に初出展する。

 同社は晒し綿などコットン加工原料、綿100%スパンレース不織布、不織布製品などを製造販売する。同展では原料から一貫生産できる強みを生かし「さまざまなニーズに対応できる点を訴求する」(渡邊秀幸取締役営業本部長)考えだ。

 円安に伴い原料の綿花が高騰してきたため、各製品の値上げを実施したが、外貨建ての輸出を行うことでコスト上昇の影響を抑えたい考え。これまでも輸出強化に取り組むが「市場開拓には展示会に出展し認知度を高める必要がある」と判断した。輸出担当者も増員し、外部企業の支援も受けるなど体制も整えた。INDEX2026では既存顧客と商談を行うとともに新規開拓も狙う。

 同社は今期(2026年2月期)から中期5カ年計画をスタートした。収益改善とそれに連動する輸出拡大に取り組む。収益改善に向けては順次値上げを実施し、初年度は売り上げを維持し、採算も改善した。販売量も微減にとどまったが、4月出荷分から不採算品の値上げを再度打ち出すため、販売減が見込まれる。それだけに海外市場開拓の重要性がより高まっている。

〈宇部エクシモ/「エアリモ」を柱に育成/既存のほか新規も開拓〉

 宇部エクシモは、芯鞘構造で細繊度を実現した「エアリモ」を強化する。民生用セパレーター用途などを軸に2025年度(26年3月期)は販売が伸びており、26年度はさらなる拡販に力を入れる。大きな柱に育成することで全体の成長につなげる。

 エアリモは、芯鞘構造では最細クラスの0・2デシテックスを実現している。繊維径にバラつきが少なく、薄手の不織布が生産できるといった特徴を持つ。0・4デシテックスタイプもラインアップしている。

 21年10月に販売を開始して以来、着実に販売数量が拡大している。順調な民生用セパレーター用途だけでなく、新用途・新顧客開拓を加速し、「当面は増設の検討が要るぐらいまで成長させたい」と話す。

 ポリプロピレン(PP)わたの「シムテックス」は、独自の延伸プロセスの採用によって高強度や高弾性などを付与した。自動車関連用途で順調に推移している。「一般チョップドファイバー」と呼ぶタイプは水処理膜関連の旺盛な需要に期待する。

 同社は昨年にステープルファイバー製品の製造と出荷を終了した。25年度の業績は、継続事業だけを見ると、増収増益が達成できる水準で推移している。