不織布新書26春(7)/FANS/ツジトミ/倉敷繊維加工/ダイニック

2026年03月31日 (火曜日)

〈FANS/北米市場を伸ばす/羊毛フェルトは用途開発〉

 ニッケ子会社のエフアンドエイノンウーブンズ(FANS)は、2026年度(11月期)から新たに米国拠点を設けたことを生かし、不織布「ヒメロン」を中心に北米市場での販売を伸ばす戦略だ。

 25年度は、ほぼ計画通りに推移した。自動車用途はほぼ横ばいで推移し、バグフィルター用途は国内販売が好調。中国での製造販売も現地企業と採用に向けた商談が進む。OA機器向けはインドネシア子会社での設備増設も進めるなど旺盛な需要が続いている。

 2月に就任した来栖泰社長は「26年度は、特に北米市場での販売を伸ばす」と話す。呉羽テックから米国子会社を譲り受け、FANSプレシジョンアメリカを立ち上げた。まずはヒメロンの備蓄販売拠点とし、ここを起点に北米での販売拡大を目指す。

 また、ベトナム、インドネシア、タイ、中国の各子会社を生かし、海外市場での販売に力を入れる。タイ子会社のFANSプレシジョン〈タイランド〉、中国子会社の芳珠精密加工〈深セン〉も既に備蓄販売機能を持つ。

 一方、羊毛フェルトは主力の楽器用途の市況に回復の兆しが見えない。このため改めて楽器以外の用途開発も進め、羊毛フェルト事業の維持を目指す。また、石岡工場(茨木県石岡市)で開始した繊維リサイクル事業も引き続き用途開拓に力を入れる。

〈ツジトミ/国内外で新規獲得/受注増で設備投資も〉

 ツジトミ(滋賀県東近江市)は各種短繊維不織布のほか、スパンボンド不織布、2次加工機などの設備を国内に保有し、中国、ベトナムの子会社も生かしさまざまな要望に対応する。その強みが奏功し、新規受注が増加する。このため、2026年8月期は微増収を見込むものの、上振れする可能性もある。

 新規受注の一つは同業他社が撤退する自動車資材を請け負うもの。現在はその対応に追われている。「予定よりも早まっており、当社の体制が整うのも5月。現状は2系列で対応するが、もう1系列を改造し3系列での対応を予定する」と辻高幸社長は言う。開発中だった土木資材もめどが立っており、本格化すれば製品加工の新工場の建設が必要になるとみる。

 中国子会社の嘉興華麗非織布制品でも新規案件がある。自動車用フィルターで、これに対応し1系列を増設する予定だ。中国子会社は新工場が8月に竣工し順次、設備移転し、現在は6系列が稼働する。

 中国子会社では日本で販売するスポーツ資材と生活資材の生産も行う。スポーツ資材は需要家の在庫調整で減速したが、2月以降回復。生活資材も新規案件の獲得で順調に推移する。

〈倉敷繊維加工/EV、半導体に重点/委託含め増産を検討〉

 クラボウ子会社の倉敷繊維加工(大阪市中央区)は、2026年度(27年3月期)も引き続き主力のフィルター用途で販売拡大を目指す。特に電気自動車(EV)や半導体関連など需要拡大が期待できる分野に重点的に取り組む。

 米澤秀次社長は25年度に関して「自動車用キャビンフィルターは取引先の販売が好調に推移しており、それに合わせて当社の販売量も増加している」と話す。工場稼働率も向上し、増収増益基調で推移したもよう。特に複合素材による高機能タイプがEVに採用されていることが増収に貢献した。中国子会社の佛山倉敷繊維加工も中国内でのキャビンフィルターの販売が堅調だ。

 26年度に関して自動車用キャビンフィルターは現在の状況が続くとみる。工場の生産スペースがタイトになっていることから、委託も含めた海外生産も検討する。

 また、半導体製造工程向けに提案を進めているグラフト重合加工による金属イオン捕集フィルター「クラングラフト」は、25年度から売上高、利益を営業計画に組み込み、販売を本格化させた。25年度は外注加工に対する取引先の認証遅れから計画にやや未達となったが、26年度は売上高計画を前年度比1・5倍に引き上げ、拡大が続く半導体関連需要の取り込みを進める。

〈ダイニック/「強化」「改善」「変革」を/次の3年間は着実に前進〉

 ダイニックの不織布事業は、「強化」「改善」「変革」の三つをキーワードに事業を進めている。2026年度(27年3月期)からの3年間は着実な前進を目指す考えで、強みを生かして成長を図り、利益の改善に取り組む。変革については特に自動車関連で推進する。

 不織布事業の25年度売上高は、24年度実績並みの水準で推移している。インテリアとフィルター関連、建材が堅調。カーペット分野は展示会の回数増が寄与して底堅い動きを示す。一方で自動車関連は、生産台数減少の影響が大きく、勢いを欠いた。

 来年度以降は強みを生かした成長施策を打つ。強みの一つは、紙やフィルムなどの幅広い素材を持っていることで、それらの複合化によって付加価値・独自性を高める。試験・評価設備を自らが持っていることも強みだ。トップシェアのカーペットも成長を見込む。

 低圧損で高効率なフィルターなど、差別化された新商品も26年度中の市場投入を念頭に置いている。

 利益は、生産体制の見直しや効率化、適正価格での販売などによって改善させる。変革では、自動車関連製品で価格見直しを申し入れ中であり、4月以降に成果と事業体制強化を期待する。