AIネイティブと向き合う(中)/26年新卒採用
2026年04月02日 (木曜日)
人材争奪と選考早期化が加速
繊維業界の新卒採用は拡大基調にある。企業ごとの増減理由には違いが見られるものの、増員の理由として最も多いのは、事業拡大や中長期的な成長を見据えた人材確保だ。「今後の事業展開を見据えた適切な人員構成」(紡績)など、成長投資に連動した採用が目立つ。また、「中長期的な当社成長を見据えた人材基盤強化」(専門商社)や「既存事業の拡大」(タキヒヨー)といった声もあり、将来を見据えた先行投資の色合いが強い。
一方、採用数を減らした企業では、「前年度に必要人員を確保できた」(専門商社)や「生産拠点の海外移管に伴い、グローバルサプライチェーン全体を見据えた供給体制を整備する」(クラボウ)などの事情があり、量より質を重視する姿勢が背景にある。職種構成の見直しや業務内容に応じた人員調整を理由に挙げる企業もあり、効率化や最適配置を意識した動きも見られる。
採用手法の変化も一段と鮮明になった。多くの企業がインターンシップやオープンカンパニーを拡充し、学生との接点づくりを強化。短期プログラムの導入や開催回数の増加により、接触機会を広げる動きが広がっている。さらに、ダイレクトリクルーティングや就職エージェントの活用、SNSや動画による情報発信など、母集団形成の手法は多様化している。
若手社員の座談会やインフォグラフィック(図解)動画をユーチューブで発信し、「学生層への認知拡大と志望度向上に取り組んだ」(専門商社)企業もあり、効果が出始めている。
また、「ジョブ型インターンからの早期選考」(ワコール)など、選考時期の前倒しも進む。
初任給の引き上げも続く。アンケートでは26万円前後から30万円台まで幅広く分布し、商社や一部大手では30万円超が定着しつつある。物価上昇への対応や人材獲得競争を背景に、待遇面の引き上げが加速している。好待遇の大手企業が地方の採用市場に進出しており、「中小企業の人材確保は難しくなった」(学生服メーカー)との声も聞かれる。
企業の中には初任配属や職種を確約する動きが出てきた。パタンナーなど専門人材の確保に向け、「インターンとして受け入れ、適性を見極めて採用する」(専門商社)といった動きもあり、人材確保の手法は多様化しつつある。





