紡績が開く新領域~開発最前線2026【上】シキボウ

2026年04月14日 (火曜日)

「デオマジック」用途拡大

 独自の技術力と新たな発想を掛け合わせ、紡績各社の開発素材は進化を続けている。多様化する市場ニーズに応える最新素材を追う。

 シキボウは、臭気対策剤「デオマジック」でパウダー型の提案を本格化させている。廃プラスチックなどのリサイクルが広がる中、処理工程での引き合いが増えており、新たな領域で試験運用が進む。噴霧型も海外への提案を強め、多様な製品形態を生かして新たな販路を開拓する。

 デオマジックは、単に臭いを覆い隠すのではなく、悪臭に香り成分を組み合わせることで瞬時にフローラルなどの香りへ変換する独自技術を持つ。パウダー型は、自社や顧客から回収した綿製品の端材を粉砕したリサイクルセルロースマイクロファイバーに、デオマジックの香料を保持させたもの。液体のみでは揮発しやすい課題があったが、綿のパウダーを活用することで香りが徐々に放出され、効果の持続性を高めた。

 愛知県主導の「あいち環境イノベーションプロジェクト」への参画が、パウダー型開発の契機となった。特殊鋼材販売のサハシ特殊鋼(名古屋市港区)と、使用済み紙おむつの再資源化事業で連携する中で開発を進め、刈谷記念病院(愛知県刈谷市)で2025年11月から3カ月間行った実証実験では、確かな効果を確認している。

 当初は徐放性カプセル型を検討したものの、生産を外部に委託する必要があり、価格面が課題だった。このため、シキボウ江南(愛知県江南市)で一貫生産できるパウダー型の開発に至った。カプセル型の3分の1の価格を目標としていたが、6分の1まで引き下げた。端材のアップサイクルを通じて、環境負荷の低減にも寄与する。

 新たな領域の開拓も進み、廃プラスチック工程や自動車内装材のリサイクル工程で試験運用が拡大している。汚泥など悪臭を放つ物質を運搬する際、上から振りかけるだけで持続的な効果が得られることも確認し、新しい使用方法として提案を進める。

 噴霧型は海外販売にも注力する。中国やベトナムなどで産業用途向けに拡販を進めるほか、悪臭防止法が定められているタイでも販路拡大を見込む。

 加えて、猛暑対策として普及が広がる電動ファン(EF)付きウエア向けに、過去に販売実績のある「デオマジックシール」の再提案も視野に入れる。ファン部分にシールを貼り付けることで、吸い込んだ空気の臭いを良い香りに変えて排出できる。独自の加工技術と多様な形態を生かし、悪臭問題の解決につなげる。