紡績が開く新領域~開発最前線2026【下】大和紡績

2026年04月16日 (木曜日)

衣料用PP軸に合繊強化

 大和紡績は、得意の綿素材に加えて合繊の提案を強化し、多様化する顧客のニーズに応える。2月に東京本社で開いた「2026年春サステナブル&機能素材展」は前回を上回る来場者を集め、衣料用ポリプロピレン(PP)や五つの機能を備えるポリエステルなど多彩な新素材を披露した。独自の技術力とグループの機能素材の融合で付加価値を高め、新規需要を開拓する。

 衣料用PPの「デューロン」シリーズは、短繊維のみの展開だったが、用途拡充に向けてフィラメントを復活させた。酸化発熱しないため、セルロース繊維とも安全に組み合わせられる強みを持つ。

 長繊維の「デューロンフィラメント」は、肌離れ性が高く、汗冷えを防ぐ効果を打ち出し、登山用のベースレイヤーやスポーツインナーなどの需要を取り込む。PP100%のフリース調生地や、裏毛の裏面にPPを使って起毛させた生地なども開発し、生地・製品での提案を通じてさらなる拡販につなげる。

 合繊強化の一環として、ポリエステル新素材「マルチベール」も投入した。特殊無機物を練り込み、汗染み軽減やUVカット、防透け、吸水速乾、遮熱の五つの機能を備える。白色でも透けにくい特徴を持ち、プリント加工もできる。異素材との交編などで機能をさらに高め、スポーツやユニフォームなどに用途を広げる。

 ダイワボウレーヨンの機能レーヨンと合繊を混紡する紡績糸「ビスティーブレンド」は風合いの異なるソフトとハードの2種類を用意した。ソフトタイプは樹脂加工ではない後加工により高い抗ピリング性を実現し、洗濯耐久性も高めた。レディース向けで26秋冬、27春夏の量産が決まった。

 清潔・衛生に焦点を当てた機能加工の提案も広げる。リブランディングした耐久性消臭素材の「デオパワーD」は、改質レーヨンとさまざまな素材を混紡し、生地へ後加工を施すことで優れた耐久性を備える。綿レーヨン混の生地では、洗濯100回後も汗臭に対する消臭性と黄色ブドウ球菌への抗菌効果が持続することを確認しており、その性能の高さを改めて訴求する。

 フェムテック市場の拡大に合わせ、経血やおりもの臭に対応する消臭加工生地「デオファブリック」も初投入した。

 繊維素材の開発に加え、機能性マスターバッチ「マジカルアシスト」の提案にも力を入れる。樹脂に粉体ではなく液状機能剤を添加するため、機能剤を全体へ均一に行き渡らせることができ、食品衛生法対応の抗菌・消臭マスターバッチも開発した。グループの総合力を生かして市場の深耕を図る。

(おわり)